初夏の庭とヘビとカエル「晴れの日はヘタの横好き」第二十五回
ヘビを飼いたいが、飼わない
雨の日に、蛇に出会った。
全く隠れていなかった。耕した庭に少し生えている雑草の木陰に、全く雨宿りできない形で、蛇がじっとしていた。
おとなしい蛇だった。寒かろうと草を抜いてかけてやっても動かない。
小柄で、頭の形が丸かったから、毒のない蛇だと決めつけて、近づいて顔を覗き込んだ。
私は蛇は好きではない。しかし蛇の顔はどうしてこんなに優しいのだろうと思う。
蛇の動かない大きな黒目がちの目はとても優しい。
九州から本州の本土には、蛇は8種類しかいない。そんなことを前にも書いた。
アオダイショウ、シマヘビ、ジムグリ、シロマダラ、ヤマカガシ、ヒバカリ、タカチホヘビ、マムシ。
マムシとアオダイショウは見れば分かるから、目の前の蛇はそれ以外の蛇だと分かった。
小雨に濡れながら、スマホで蛇について検索して、目の前の蛇が高千穂蛇なら嬉しいと思った。ちょっとだけ珍しいからだ。名前からして九州の蛇らしい感じもする。
しかし、背中の黒い1本の先は、微妙にあるような気がするものの、鱗が虹色には見えなかった。
ジムグリかヒバカリか。
雨で濡れていて、体色がよくわからない。全体的に赤色だったらジムグリ。ヒバカリなら白い線が入っているそうだ。頭に白い線が入っているように見えた。
おとなしい蛇は、飼育しなくても、庭で観察できるから良い。
蛇は庭を荒らさない。毒蛇でなければ野良猫にも弄ばれるだけだ。
ヒバカリであれば、薄明薄暮性で猫と似たような時間帯に行動する。水辺を好む生物は、我が家の庭に案外いる。ヒキガエルもそうであるし、このヒバカリもそうだ。
これから雨が多くなる。近くに小川がなくても、水辺の生物が、我が家にますますやってくるだろう。5月終わりには、サワガニだってやってきたくらいだ。庭の猫を捕獲しようと夜中に一人蔵の中に潜んでいた晩だった。ビニール袋の上でカサカサやっていたサワガニはどこへ行っただろうか。野良猫にノックダウンされたかもしれない。
近所の花
隣近所には4月に菖蒲の花が咲いていた。
うらやましい。我が家でも育つのだろうか。しかしもうあんまり大きい植物は手に生えないという気もしている。
種まきして芽が出た植物を地道に植え替えている。山近くからすみれも取ってきた。パンジーやビオラと比べると、あまりに端が小さいけれど、よく似ている。深い青紫の花弁は、少しだけ菖蒲の花を思わせる。
ヒキガエルの駆除の予定は無い。ナメクジはちょっと困るので、見つけてはポイと放り投げている。ボリジの花を、イチゴのそばに植え替えて、昨年野生化したイチゴが実った。今年は"さちのか"の苗を買った。
4月以来種まきはしていない。野菜については父が勝手に植えていたり、毎年勝手に生えてくるものもある。
例えば、じゃがいも、里芋、みょうがなどである。
6月の庭の様子
5月終わりに気象庁から九州の梅雨入り宣言があった。しかし、それから雨がそれほど降らない日が続いた。曇りでたまに雨がぱらつくので洗濯物を干せない日を数えたら立派な梅雨ではあったけれど。
5月から野良猫捕獲作戦で庭どころではなかった。ミントで葉水してカメムシさえ来なければまあいいやで、例年以上の手抜きだった。手をかけない事に反して繁っていくハーブを乱雑に刈り取って、猫を探しながらとりあえず虫除けだあーと煮込んだだけのミント水を庭に振りまく日々。
皮肉な事に庭の手入れはしないのに、猫捕獲でますます長時間庭にいるようになった。
家の敷地から一歩も出ない日に9,000歩以上歩くあり様だ。室内より庭が涼しいので、クーラーに頼らないように朝晩庭にいるのも良いかと思っている。一人で猫七匹捕獲避妊手術譲渡まで目指すとなかなか道のりが長い。
ぼうっと形ばかり草むしりしていると目に入るのが雑草に紛れて咲いている園芸植物。中でも不穏なのが向日葵だ。
チェリーローズと書かれた種をAmazonで購入したのだ。花は仄かにでも赤いはず。しかし、開く前の蕾の花弁は明るい黄色にしか見えない。それはそれで可愛いけれど、黄色いひまわりの種なら買わなかったなあと思う私はエゴイストだろうか。見た目で花を選ぶのか。
ああ、そうだよ。私は見た目で気に入った花を選ぶんだ。育ててみれば愛着がわく品種は必ずしも見た目が派手なものや可愛らしいものではない。けれども一番最初の出会いで手にする決め手はやはり見た目。次に薬効や育てやすさ。そして、値段。
来年からはハーブ以外はあまり買わないだろう。家族が買うものをぼちぼち増やして節約を心がけたい。今年たくさんのこぼれ種で来年の花が約束される事を期待している。
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