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「窓辺の猫」第四十三回 どこからが過保護か?

どうも過保護です。
いえ、過保護の狭間にいます。
どのくらいの症状なら猫を病院に連れて行くべきなのか、悩みどころです。
我が家の猫たちは猫白血病でも猫エイズでもありません。
しかし、三毛のセミ猫は猫ヘルペス。
生まれてすぐに母猫から移った線が濃厚。
季節の変わり目に体調を崩しがちです。
昨年は今頃に体調を崩して結膜炎になり、抗生物質の注射を受けたので、目ヤニがひどくなってきた2月末に動物病院に連れて行きました。

「一匹だけつれてくの?」
「特に(トンボ猫)を連れていく理由がないでしょう」

母は健康診断のつもりなのか、一匹だけ連れていくというと不思議がっていました。

そして、病院に連れて行き、
「ワクチン打ってますから、肺炎になったりする心配はないですからね」
と、獣医さんに言われました。

うーん、私が過保護すぎたのでしょうか。
一方で、獣医さんも悩んで注射はなくて、目薬と飲み薬だけになったので、それは良かったです。昨年は結膜炎になっていました。今年は目ヤニと鼻水が増えたところで踏みとどまりました。
昨年の血液検査(エイズや白血病の検査)ですっかり病院に警戒心が芽生えたセミ猫が診察台から何度も降りようとしたので、注射回避で病院に対する警戒心が薄らいでほしいです。
夏にまたワクチン接種があります。ちょうど猛暑が予想される8月。体調を崩さないに越した事はないですが、目薬は処方してもらっておきたいです。

動物病院に行ったのは、先輩猫のセミ猫の体調のことだけではなく、後輩のトンボ猫についても相談があったからでした。

なんとトンボ猫がスプレーをするようになったのです。臭いおしっこを少量どこかにひっかけて臭いつけをするというアレです。
新しいトイレになってから、トイレに行くのも頻繁で、(お太り気味で腎臓が悪くなったのだろうか?)と心配したら、病気が原因ではなくストレスでした。
トンボ猫は、避妊手術済みのメス猫です。 
それでも縄張り意識が強く、警戒心が最大級のようです。ある日とことこ家の中に入ってきて以来、我が家をよほど気に入っているのでしょうか。

今のところ頻繁ではないのですが、先日の夜母が玄関扉を開けた隙間を塗って庭に飛び出して我が家の庭に居着いているボス猫と喧嘩しました。

昨年末から全く庭に興味がなかったトンボ猫が風呂場の換気に網戸にしている窓辺で長時間庭を眺めて過ごすことが増えていました。すりガラスなので窓を閉めると外が見えなくなるので降りて来ます。ただ閉めっぱなしだと換気が出来ません。よっぽど外に居着いている猫家族が気に入らなかったようです。

(自分は先輩セミ猫に受け入れてもらったのにそれはどうなの?)
なんていう人間の感慨は猫に伝わりません。
セミ猫もボス猫だけ追い回した過去が何度かあります。セミ猫は年に数回庭に脱走します。もちろん、人間の不注意です。
セミ猫は母猫や子猫に攻撃した事はありません。ただし、子猫の頃は何度も他の猫と喧嘩して怪我を負い、そのたびに病院に連れて行き、結局我が家の家猫になりました。

トンボ猫は怪我をする前に開けっぱなしの玄関中に飛び込んで逃げ戻っては来ました。
しかし、洗ってあげたら、洗い終わってからタオルで拭かれるのを嫌がって家の中を逃げ回り、お気に入りのクッションにお気に入りのブランケットをかぶせて誘い込みました。
そして気持ちよさそうにうとうとしたところでタオルで拭き、だいぶ毛が乾いてからノミダニの薬をつけました。
警戒心の強い猫なので、人間が近づくとすぐに目を開けて何するんだろうと見上げて来ましたが、逃げる考えまでには至らなかったようです。

ぽとぽと。
首筋に薬液がしっかりついて、一拍遅れ、
「シャーッ」
と威嚇して来ました。尻尾が千切れ、声帯を痛めている猫なので迫力がないはずですが、慣れてないせいか猫の威嚇は怖いです。

実は、セミ猫はシャーッをやったことがないんですよね。外猫に怒り狂って唸りはしますが、それは威嚇ではなく、いきなり喧嘩です。窓をバシバシ叩きます。
威嚇しないので、やんのかステップをやった事もありません。
動物病院の待合室には3組の猫の飼い主さんがいらっしゃって、「おとなしい猫ですね」「尻尾が長い猫ですね」と言われました。野良だっただろうなとわかるような潰れ鼻と奇妙な三毛柄。美しい尻尾がトレードマークです。
そのセミ猫の長い尻尾が膨らんだ姿などほぼ見たことがありません。ただ、待合室にいらっしゃった方がせっかく目を合わせて「バイバイ」と話しかけてくださったら、「ニャー
ーーー」と細く鳴いてびっくりしました。よほど病院に緊張していたのでしょう。何の要求もないのに、セミ猫が鳴くなんて久しぶりです。
セミ猫は、ギャッと驚いて飛び退く事も無ければふみふみもフレーメン反応もしません。少し気は強いけれど、普段はどっしり穏やかな猫なのです。

ただし、自分が我が家のボスとは思っています。トンボ猫が私に現れて薬をつけられてシャーシャー言い出すと「立場を弁えなさい」と言わんばかりにじっと見つめていました。
セミ猫は自分も人間の邪魔をすることがある癖に後輩のトンボ猫が人間の邪魔をするのは気に入らないのです。
トンボ猫ほど頻繁に邪魔をしないから、「私は弁えているから、程度を知っているのよ」というつもりなのかもしれません。

トンボ猫はセミ猫が喧嘩を仕掛けてくる事はほぼないとわかっています。
セミ猫に叱られても、しばらく私が立ち上がるたびにシャーシャー言ってリビングの他の家族の元に逃げて行きました。
しかし、しばらくすると私の部屋に来て私の布団のど真ん中に陣取りました。クッションやブランケットを与えると退いてくれたのが幸いです。

年明けから、トンボ猫は落ち着いたように見えていました。実際には庭に居着いた猫家族に対抗心いっぱいだったわけです。しかし、セミ猫のごはんを奪うのではなく、食べ終わりを後ろで待ち、何よりおやつも奪いとらず、二匹で共有できるようになったのが可愛いです。

鼻の曲がっているセミ猫はごはんを食べる時に鼻の頭にシワが寄るので、写真だとごはんの食べ方が荒々しく見えます。しかし、実際は食べるのが上手で皿から食べこぼさず、落ちたごはんは食べません。残したごはんに何かかけて隠そうとするのは行き過ぎていて敷物や新聞がダメになるので少し困りものです。

食い意地の張ったトンボ猫は鼻筋が通っていて写真では上品に食べるように見えます。実際は気に入った美味しいものは皿から出します。扉を壊して盗み食いします。引き戸が落ちたり、襖を破かれたり、でっかい扉も金具が壊れました。
キャリーも壊して穴を開けて首が挟まって窒息しかけた事もあります。
いざとなればとことん暴れるトンボ猫。
影響を受けたセミ猫が動物病院で唸ってみせたのでしょうか。
一方で、セミ猫の影響を受けたトンボ猫もまた自分でボス猫に挑もうとしたのでしょうか。

猫たちが我が家に猫を増やしたくないとしても、私の気持ちはちょっと違います。
私が億万長者であったなら。猫も人間も、世界中全ての住処のない生き物に家を与えたいです。私だっていつホームレスになるかわかりませんが。

女だけで暮らせばいいのよ!

しかし、我が家の猫たちはボス猫の同居を絶対に許はないでしょう。

フロントラインはダニが耐性を持ってしまい、もう効かないと聞き、こちらを購入してきました。3ヶ月効果持続。他の種類はセミ猫が具合を悪くした事があります。気になって舐めるようで、食欲不振にごはんを吐いたばかりか薬をつけた部分の毛が抜けました。春はノミダニがほんっとに怖いです。

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