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俳句 part.84「冬めく」

ときめく時と春めく時と冬めく時の違いはなんでしょうか?

まだ秋だと思ううちに冬のきざしを感じ、春が待ち遠しいと思っていたら、春の気配を庭に感じる。ときめくというのは、平安時代なら権力者に寵愛されることだったでしょうが、現代ではさながら恋の予感に胸がときめくという意味以外ではほぼ使われていない気がします。

恋になぞらえて、高級品を店で眺めてときめくこともあるように、大体これから訪れる必然のきざしを感じる表現が"めく"という言葉である気がします。

一方で、苦笑めいた微笑は明らかに呆れており、子どもめいた振る舞いと言われたら大体叱られている時です。〜ぽいと〜めくは似たような表現でしょうか。ぽいだと必ずしもそうではなく、そう見えるだけとも取れそうです。

冬めくは果たして、冬の訪れを期待した言葉でしょうか。冬っぽい秋くらいでとらえてしまって良いでしょうか。冬っぽいならときめくみたいに、明るい期待感は持たせなくていいんですよね。

暗い性格なので、「冬めく」が明るい意味なら下は全部使い方間違えています。

冬めいて言葉少なく茶を喫す

冬めいて編み糸の色悩む店先

冬めいて街中の人の髪の彩り

冬めいて茄子科の野菜庭に消ゆ

冬めいて街並み眼下雲の下

冬めいて日々のルーティン朝茶する

冬めいて物産展の品揃え

冬めいて猫の小頭撫で回す

冬めいて乾燥肌のヒリヒリす

冬めいて庭に野良猫いなくなる

冬めいてどこでも売れるアップルパイ

冬めいた唇の色冬メイク

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