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あれから何年も経って
夏の匂いに誘われ また記憶を呼び戻している
あの時の私はもう此処には居ないのに
胸の奥の方で疼いている霊の囁きが
私の記憶を塗り替えている

夕暮れの公園のベンチの上に
忘れていた悲しみと
昇華された筈の私の暗い夢がいま混じり合ってまた
黒い雲が辺りを覆い始めた

囁き声が大きくなって、世界が聴こえなくなる
私には何も感知できない
私は作り変えることはできない

暗い夢を引き摺りながら
ただ広い世界へと解き放たれることを望んでいる
昔と何も変わっていない唯一のわたし
纏わりつく霊が連れ去ろうとする
月が眩く


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