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空の箱庭

暗い病室の中でひとり死んだ筈の貴方の声を聴く
この世界の外は危険でわたしは此処から出ることはできない
貴方の声を辿って
霞んで見えなくなる視界を繋ぎ合わせて
光を創り出して見せて
もう感じなくなった想い出の中に確かに私は生きている

こもった熱がぐらぐらと私の身体を燃やして
窓の外からは私を殺すための矢が飛んでくる
私は死んだ筈のその日の夜を暗闇に重ねた
悲しい声は聴こえない
其処には無感情の月と重力のハーモニーが映って
海は見えない
空の向こうに遠い記憶の中の海が未だ見える
貝殻を集めてひとつひとつボトルの中に閉じ込めた
この夜が明ける頃には
貴方はまた天国へと向かってしまうから
声の中に透明の花を封じ込めたら
私の中に大きく咲く白い花と
それを燃やす黒い花が咲う

真実はわたしが知らない所で空に葬られた
天体が空から堕ちてくる間に
わたしは今
貴方をこの手でぎゅっと苦しめて
遠い記憶の朝へと飛ばしてしまう
炎の中に消えていった記憶はもう一度よみがえる


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