見出し画像

冷やし担々麺の罠にはめられた

休日前の金曜の夜。次の日のおでかけの時に食べるランチにどこへ行くかを考えるのは極めて重要な事項である。ふだんは自炊や惣菜おかずがメインなので貴重な外食。食事に1000円近くかけること、一日の大半のカロリーを摂取することを考えるとなかなかに失敗はできない。えーっと、明日は四条烏丸の京都シネマに行く予定だから、烏丸付近か…。何かあったかな…。

ふと浮かんだのは錦にある万豚記の黒ごま担々麺。ここにはいくつか担々麺があるが、黒ごまがいちばんおいしい。京都の担々麺の中でも最上級に好きな味。これだ、これにしよう…。担々麺好きのわたしにとってはこの上ないごちそうだ。

当日、映画を見終わってさあお昼ごはん。そこまで混んでいない店内に案内され、カウンターの一番端に座ってメニューを見る。あった、黒ごま担々麺…。そしてこれは…?
目に入ったのは冷やし黒ごま担々だった。なんだその、冷やしってやつは…!一日前から黒ごま担々麺を食べる気持ちを整えてきたのにめちゃめちゃに揺さぶられる。わたしが食べに来たのは担々麺だけど、ひょっとすると冷やしのがおいしいかもしれない…。それにいつもいつも同じものなんて、ちょっと保守的すぎないか。ここは、チャレンジではないか…。

めちゃめちゃ悩んだあげく、隣に座っていた夫の「こないだ食べたけどおいしかったよ」の一言で、これを頼むことに決めた。カウンター越しに注文する。そしてやってきたのが、これだ。

スープを一口。
えっ…? これは…酸っぱい!
この酸っぱさは紛れもなく冷やし中華のタレの味…!
いやいやいやいや、違うんだよ…!こんなものは担々麺ではない。冷やし中華 〜担々風〜だ。私が求めていたのは冷たいスープで楽しむ担々麺なんだよ…!

悲しい気持ちになりながらも食べる。まあ、おいしいんよな、うん…。冷やし中華普通に好きだしな。ピリッとした肉味噌が効いててさ…。けれどもレンゲにすくったタレは酸っぱい。今日だけは、担々麺が食べたかったんだよ…。あるだろ?そういうの…。

空腹が満たされたのとは裏腹に、心にはぽっかりと穴が空いたまま店を出た。こんな悲しみはもう二度と繰り返してはいけない。絶対にだ…。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?