子どもがどこで暮らそうと、親がどこで働こうと、子どもにとって大切なこと
こんばんは。絵本「みんなとおなじくできないよ」や「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」の作者で、小児科医の湯浅正太です。このチャンネルでは、子どもの心に関わる物事を気ままに発信しています。ですから、紅茶でも飲みながら、ゆる〜い気持ちで聴いてもらえればと思っています。
今日は、子どもの暮らしと、親あるいは大人の働き方を考えてみたいと思います。
子育て中の親が育児と仕事を両立していけるように保育所が必要、という議論があります。核家族化も進んで、身近に頼れる身内もいないため、生きていくためにどうしても子どもを保育所に預けないといけないケースがあります。
そんな風に、子育て世代を救う手立ては必ず必要であることを理解したうえで、さらにもう一歩踏み込んで考えたいことがあります。それは、「保育所も含めて、あらゆる場所へ預けられた子どもたちの心の発達を気にかけてあげたい」ということです。
子どもの心の成長にとってとても大切なものは、安心安全な心の拠り所になる存在です。それは多くの場合、親なわけですが、親であろうと、無かろうと、子どもに接する大人には安心安全な態度が求められるのです。大人が穏やかな心で子どもに接してくれれば、子どもの心は穏やかに育ちます。これは、とてもシンプルなカラクリですが、子どもの心を育てるうえで欠かせない重要な理解と言っても過言ではありません。
そんな子どもたちが経験するこれからの社会は、少子高齢化・人口減少によって大きく変わります。そうやって社会がガラリと変わるからこそ、大人が安心安全な穏やかな心を維持するためには、大人の働き方も変わる必要があります。
特に、国の宝である子どもたちに接する職業では、働き方改革がとても重要と思っています。例えば、学校の教師の方々です。教師が心に余裕を持てるからこそ、穏やかに子どもたちに接することができます。そうやって関わってもらった子どもたちには、やはり穏やかな心、豊かな心が育つものです。
そうやって豊かに育った子どもたちの心は、家庭に、そして国の成長にいい影響を及ぼします。社会問題の多くの事柄が実は子育てから始まっている、と言っても過言ではありません。これまでの日本社会はその子育ての価値を理解していたのだろうか。個々人は理解していても、国全体としてはあまり理解されていなかったのかもしれません。
目で見てわかりやすいものを築き上げることは、成果がわかりやすいため、価値を感じやすいし、評価を受けやすいものです。一方で子育ては、なかなかすぐには結果が見えてきません。しかも、子どもの成長は階段状です。スルスル坂を登っていくように成長するわけではありません。そうではなくて、ある時は成長して、その後その成長が横ばいになって、またある時スッと成長する。そんな階段状に進むのが、子どもの成長です。言葉の発達も、運動の発達も、勉強だってそうです。階段のように経過します。
今の社会は、子育ての価値を再認識する必要があると思っています。子どもの価値をしっかり理解できた社会であれば、子どもに関わる大人の価値も見えてきます。子どもがどこで暮らしていようと、そこで子どもに接する大人の心が穏やかであってほしい。親がどこで働こうと、子どもに接する時に安心安全な安らぎを提供できる社会であってほしい。そう思います。
だいじょうぶ。
まあ、なんとかなりますよ。
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