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子どもの気持ちを聞く技術

こんばんは。絵本「みんなとおなじくできないよ」や「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」の作者で、小児科医の湯浅正太です。このチャンネルでは、子どもの心に関わる物事を気ままに発信しています。ですから、紅茶でも飲みながら、ゆる〜い気持ちで聴いてもらえればと思っています。

皆さんは、子どもの健全な心の成長を促すために大切なことは何だと思いますか。色々ありますが、必ず大切にしたいことの一つに、子どもが自分の気持ちを他人に伝えられる機会を設けるということがあります。子どもたちの気持ちというと、もちろん嬉しい気持ちもあるかもしれません。忘れてならない気持ちとして、SOSの気持ちというものもあります。

今日は、そんな子どもたちの気持ちを聞く環境の大切さについて考えてみたいと思います。

人には、色々な個性があります。「何か意見を言って」なんて言わなくても、自分から進んで意見を言ってくれる人もいます。そうかと思えば、自分の意見を発言するのをためらって、なかなか自分の気持ちを他人に打ち明けられない人もいるものです。社会で暮らしていると、本当に色々な個性に気付きますよね。

それは、子どもの世界でも同じです。発言を求めなくても、勝手に自分の意見をズバズバ言う子どももいれば、意見を聞いても、「え〜と・・」となかなか意見を言ってくれない子どももいます。

子どもたちが自分の気持ちを他人に伝えられるかどうか、あるいは子どもたちが自分たちの気持ちを理解してもらえてると感じられるかどうかは、子どもたちが生きるうえでとても大切なことです。「今、とっても嬉しい気持ち」「今、とっても困ってる」、そうやって自分の気持ちを誰かに理解してもらうことで、子どもたちの心は健全な状態を保てるのです。

「子どもたちが誰かに気持ちを知ってもらうって、そんなに大切なこと?」と思う人もいるかもしれません。小児科医としての答えは、「はい、それは、子どもたちが生きるうえでとても大切なことです」ということになります。

子どもたちが自分たちの気持ちを誰かに伝えることが、それほど重要なことと理解しているからこそ、もしも子どもたちが気持ちを教えてくれるような場面があったら、どうやって反応すると思いますか?「教えてくれてありがとう!」って、気持ちを教えてくれたことに感謝します。

どんな意見でも、子どもたちが自分の気持ちを誰かに伝えてくれた場面があれば、他人に気持ちを伝えようとしてくれた、その行為に感謝します。そうやって、子どもたちの心の中にある「自分の意見を誰かに伝えたい」という気持ちを育てたいものです。「自分の気持ちを誰かに伝えてもいいんだ」とか、「自分の気持ちを誰かに伝えると、何だかほっとする」、そんな経験を子どもたちにはたくさん積んでもらいたいと思います。

世の中には不登校を経験していたり、何だか生活にうまく適応できていない子どもたちがいます。そんな子どもたちの多くに共通することとして、その子どもの気持ち、あるいはSOSを十分に聞けていない環境というものがあります。

中には、子ども自身の言葉にして伝える能力が乏しい場合もあります。でもそれだけでなくて、いくら子どもが自分の気持ちを伝えようとしても、聞こうとしない大人の環境もあったりします。

小児科医として、そんな子どもと環境を目の当たりにしているからこそ、子どもたちの気持ちを聞ける環境がどれほど大切かということを理解します。子どもたちの心の声を聞こうとする姿勢が社会にあるかどうかで、子どもたちの生きやすさは桁違いに変わっていきます。
これから少子高齢化の時代に突入していきますが、限られた子どもたちの周りには、多くの大人たちが存在する時代になります。大人たちが子どもたちの声を聞こうとしてあげれば、子どもたちの心は健全に育っていきます。
子どもの気持ちを聞く技術として、まずは「教えてくれてありがとう」からお願いします。

そうすれば、
だいじょうぶ。
まあ、なんとかなりますよ。

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