小児科医にとってのスクープ
こんばんは。絵本「みんなとおなじくできないよ」や「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」の作者で、小児科医のしょーたです。
気づいたら僕のYukuri-teという法人が設立二周年を迎えていました。色々な方から、子どもの支援相談をいただいたり、一緒にコラボして活動するご相談もいただいてきました。今後もマイペースに活動していきたいと思いますので、応援よろしくお願いいたします。
先日もYukuri-teの方にご相談のメールを送ってくださった方がいますが、そのお返事はこの週末のVoicyで取り上げますね。ちょっとお待ちください。
そんな今日は、「小児科医にとってのスクープ」というテーマでお話ししたいと思います。
あなたには、これまでに何か「えっ」と感じたスクープはありますか?僕には、小児科医として働く中で、そんなことが山ほどあります。
例えば、感染症に対するマスクの効果です。昔は、「外来に出るのにマスクなんて必要ないよ」、そんな風におっしゃる先生がいました。でも、僕はマスクをしないと頻繁に患者さんから感染症をいただいていたんですね。だから、小児科の外来に出る時には、いつもマスクをしていたんです。それは比較的珍しい光景でした。
でも、このコロナ禍になって、飛沫対策にマスクは欠かせない、そういった意識が強くなりました。だから、発熱のある子どもを診察するのに、マスクを着用することが当たり前になりましたね。それは、僕にとっての一つのスクープですね。
あとは、例えば、学校の特別支援「学級」を担当する先生が、他の先生に比べて特別な資格が必要ないということでしょうか。特別支援「学校」で働く先生には、そのための教育課程というものが存在します。
でも一方で、一般の地域の学校にある特別支援「学級」で働くには、他の先生に比べて特別な資格は必要ないんですね。
そうなるとどんなことが生じると思いますか?それは例えば、子どもの支援に対する理解の不一致です。支援「学校」の先生であれば、「そりゃそうですよね」と言って阿吽の呼吸で理解いただける子どもの様子について、支援「学級」の先生ではそうはいかないこともある。そんな現実があります。
でも、これは支援「学級」で働く先生への批判ではありません。勘違いしないでください。これは、国の制度への批判です。
なぜなら、子どもたちの支援にあたって、子どもたちの様子を分析できないと、どんなことが起こると思いますか?それは、子どもが困ることはもちろんのこと、その先生自身も困るんです。先生自身が困り果てて、精神的にまいってしまう現場も見てきました。そういう現場って、決して珍しくないんです。
それを、国は把握していますか〜〜〜〜〜〜!!!!!!と訴えたいということです。
形だけ整えようとしてもダメなんです。支援には、支援の知識が必要なんです。支援「学級」を担当するようになった先生が、以前校長先生のキャリアを務めていたことがある人であっても、です。
僕は、支援「学級」を担当する先生には、それなりの実地研修の機会を国がしっかり設けるべきだと思っています。付け焼き刃的に対応したって、ダメなんです。それは、子どもを守るためにも、教師自身を守るためにも、とても大切なことです。
今日は「小児科医にとってのスクープ」というテーマでお話ししました。
だいじょうぶ。
まあ、なんとかなりますよ。
湯浅正太
小児科専門医、小児神経専門医、てんかん専門医。一般社団法人Yukuri-te(ゆくりて:https://yukurite.jp/)代表理事。イーズファミリークリニック本八幡 院長。作家。著書に『みんなとおなじくできないよ』(日本図書センター)、『ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ』(メジカルビュー社)がある。