見出し画像

野球WBCを観戦して小児科医が思うこと

こんばんは。絵本「みんなとおなじくできないよ」や「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」の作者で、小児科医のしょーたです。

今日は「野球WBCを観戦して小児科医が思うこと」というテーマでお話ししたいと思います。

あなたはどんなスポーツをやっていましたか、あるいは、やっていますか。僕は子どもの頃はサッカーをやっていました。あまりにサッカーが好きだったので、誕生日プレゼントはサッカーボールということもありました。新しいサッカーシューズを買ってもらえた時には、勝手にサッカーが上手くなった気になってしまうとか、ずーっとサッカーボールを蹴っていても飽きないとか、そんなサッカー少年でした。

でも、サッカーばかりが好きだったかというと、野球もテニスも水泳も、誰かが一生懸命にスポーツを行なっている姿を見るのは好きだったんですね。でも、もっと好きなのは、それぞれの選手たちのことを知ることでした。その選手はどんな人生を生きてきたのかとか、その選手はどんな考えをもっているのかとか、そんなことを知るのが大好きだったんです。

最近だと、日本中が野球のWBCに熱狂しました。テレビやYouTubeでは野球選手の特集が組まれていたりしたので、そういう番組を見て楽しんだりしていました。この選手はこんな温かい家族のもとで育ったんだなあとか、こんな苦労をしていたけれど最後は笑顔で終われてよかったなあなんて、そんなことを思いながらWBCの映像に釘付けになっていました。

そんな野球のWBCですが、あなたはどんなところが最も印象に残っていますか。小児科医としての僕にとって最も印象的だったのは、日本代表を率いる栗山監督の記者会見の様子です。

栗山監督が記者の方から質問を受ける時のことです。ある特定の選手を褒める意見を求められても、あるいは、誰かをひいきするように誘導された質問を受けても、なるべく特定の選手を褒めるということをしないように配慮している姿勢がありました。

そういう栗山監督の姿勢を見てさらに感じたのが、チームの横のつながりです。「指揮官に特定の誰かを優遇しないように配慮する姿勢があるからこそ、選手たちの横のつながりが強くなるんだろう」ということを感じたんですね。それはまるで、家族のつながりのカラクリを見ているようでした。

以前にもちょっと触れましたが、兄弟同士が仲良くなるのは、兄弟同士の努力というよりも、親が兄弟に個別に関われるか、ということでした。誰か一人の子どもをえこひいきするのではなくて、それぞれの子どもに個別に接すること。それが、結果的に兄弟同士の仲の良さにつながります。

それと同じことを、WBCの日本代表を見て感じたんですね。

栗山監督の記者会見での発言では、意識的に特定の選手だけを褒める発言は避けるようにしていらっしゃったと思います。でも、裏ではおそらく選手に個別に関わる努力をされていたのだろうと思うのです。だからこそ、選手同士のつながりが強化されて、いいチームが出来上がったんじゃないでしょうか。

もちろん、経験のある選手も選手同士がつながれるように身を粉にして働きかけていた、という報道もありました。そういう選手たちの努力もあったと思います。ただ、その土台には指揮官の意図的な配慮があったからこそ、選手同士の働きかけが身を結んで、チームが一つになれたんだろうと思うんですね。

今日は、「野球WBCを観戦して小児科医が思うこと」というテーマでお話ししました。

感動的な試合をありがとうございました!

湯浅正太:
小児科専門医、小児神経専門医、てんかん専門医。一般社団法人Yukuri-te(ゆくりて:https://yukurite.jp/)代表理事。イーズファミリークリニック本八幡 院長。作家。著書に『みんなとおなじくできないよ』(日本図書センター)、『ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ』(メジカルビュー社)がある。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?