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これからの家に必要な電気配線とは?

新築の計画をするとき、部屋のコンセントの場所やスイッチの位置を検討します。
各家庭にインターネットが普及し、使用する電化製品も10年前とは変わってきています。
住宅の話だけでなく、よく古いホテルのロビーやオフィスビルのエントランス付近に石でできた広いカウンターがあったりすると、「ははあ、かつてはここに公衆電話が置かれていたのだな」と思うことがあります。
最近のデジタル化の勢いはすさまじく、それに合わせて必要な電源と建築本体の寿命が合わなくなってきていることを感じます。
とは言え、設計者としては少し先の未来を予測して、従来よりもコンセントを多くしたり、フレキシブルな照明計画が可能なように工夫したりするしかありません。
ここ10年で変わってきたライフスタイルで、設計上検討が必要だと思うところをあげてみました。

① お掃除ロボットの充電ステーションを計画する
昔はコンセントの計画は掃除機のコードが届くように、玄関周りや廊下や階段周辺、リビングなどの広い空間では部屋の対角に設置することが多かったものです。
現在はお掃除ロボットを採用する家庭が増えています。専用のコンセントを設置するだけでなく、家事動線の邪魔にならない位置にお掃除ロボットが帰ってくる場所(充電ステーション)を計画する必要があります。


② キッチン家電が増えてきた。専用コンセントは二か所必要?
通常はひとつの安全ブレーカーにいくつかのコンセントや照明の電源をまとめて配線するのですが、電気容量の大きい家電を複数使用する可能性がある場合は、そこでブレーカーが落ちるのを防ぐために、コンセントを独立させて専用コンセントとします。オーブントースターなど、主に熱を発する家電を使用するコンセントを専用コンセントで計画することが多いです。昨今は様々な調理器具が増えてきたので、専用コンセントを二か所計画してほしいというご要望が増えました。


③ アイロン用の電源
機能的なウォークインクローゼットのある家が増えてきたと思います。スチームアイロン派の方には、クローゼットに電源があるとさらに使い良いです。


④ ベッドサイド、リビングにスマホ充電用コンセント
眠る前にスマホのブルーライトを見ない方がよい、とも言われていますが、充電用に必要だという方は多いです。ベッドサイドのコンセントはスタンドの電源としても便利です。


⑤ 乗り物の電源は?
EV車が普及しつつあります。現在はガソリン車でも将来EV車に買い替える可能性も見えてきます。EV車の充電には時間がかかるので、200Vの電源の設置が必要です。将来のために設置を検討しておくと良いかもしれません。
電気自転車の充電用に、玄関土間にコンセントを設置したいというご要望もありました。


⑥ 外部のコンセント
ウッドデッキやバルコニー、テラスにコンセントがあると便利です。外部照明を増設したり、外でホットプレートを使えたりもします。災害時にも便利な場合があります。

電気を便利に使う前に、給湯や冷暖房、照明などで出来るだけ電気を消費しなくて済むような住宅の計画が必要です。まずはしっかり断熱をし、中間期には自然の風を取り込んで心地よく暮らせるような間取りにすることが大切だと思っています。

一級建築士事務所ゆくり設計室


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