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アーサー・ランサム 現存する唯一と言われる音声テープ

子どもの頃夢中になって読んでいた、イギリスの作家アーサー・ランサムによる冒険物語。今でも水辺に行くと、ヨットに乗りたいという気持ちが湧いてきます。

ランサム・サーガと呼ばれる12冊の物語が出版されたのは1930-1940年代ですが、ランサムが亡くなったのは1967年。優れた児童文学に送られるカーネギー賞を受賞したほどの作家だったことを考えると、テレビのインタビューなどでランサムの映像が残っていてもおかしくないと思うのですが、私がネットで探した限りでは見あたりません。

代わりに、「知られている中で唯一現存する、ランサムの肉声」というものを見つけました。BBCラジオが1950年代に録音したものだそうです。2013年に雑音の除去など修復が行われてBBCが放送したというものが、YouTubeに出ています。

この中でランサムは、『Rod and Line』という釣りについての自著を朗読しています。ランサムの録音音声が残っていたと紹介するのが趣旨なのでしょう、途中でリポーターや音源を発見(修復?)した人のトークが入ってきます。そのためランサムの朗読をじっくり味わえないのがまちょっと残念ですが、こんな声の人だったんだと感じることはできます。

メガネをかけて、パイプをくわえたり背の高い帽子をかぶっていたりするランサムの写真を見てきた私は、もっと渋くて低い声と結びつけていました。でもここで聞こえてきた声からは、ユーモアやジョークを好む洒落っ気ある人の姿が思い浮かびました。作家としての活動に入る前のランサムは、ロシアや中国に特派員として送られるなど新聞記者として活躍していました。取材先で相手の懐にスッと入りこめるような性格だったのかもしれません。そんなことも、この声から何となく感じました。

写真や声だけから人の性格を判断することなど、実際はできないのでしょう。でも、こんな声をした人なら、子どもが主人公の冒険物語をとことんリアルに書けるのも納得できる気がします。声を聞くことができて、ランサムのことを身近に感じることができるようになりました。


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