最近よく聴いてるオーディブル(Audible) をレビュー
最近、AmazonのオーディオブックサービスAudible(オーディブル)を聴く機会が増えました。5か月ほど前から、月会費を払うと一定の範囲でオーディオブックが「聴き放題」になるとシステム変更されたのが大きな理由です。実際に試してみないとなかなか良さと留意点がわかりづらいオーディブル、私なりの感想をまとめます。
オーディブルとそのシステム
オーディブルでは、小説やビジネス書など、幅広い本がプロの声優などによる朗読版として提供されています。会費1500円の月額サブスクリプションが主な利用手段です(会員にならず単品購入することもできます)。会員になると、対象に含まれる本が聴き放題になります。公式サイトによると、12万冊以上とのこと。
私の利用法(以前)
私が初めてオーディブルを使ったのは10年近く前。当時は、月会費を払うと好きなオーディオブックを1冊自分のものにできる「コイン」がもらえるという仕組みでした。英語を継続的に学べる方法を探していた私は、オーディブルの英語本をその手段として使おうと思ったのです。
子どもの頃翻訳版に夢中になったアーサー・ランサムの作品のオリジナル版とか、村上春樹さんの作品の英訳版などを購入し、少しずつ聴いていきました。
でも、英語の本を聴くのは時間がかかります。毎月「コイン」をもらって本だけを増やしても聴ききれません。2, 3か月会費を払って気になる本を手に入れると休会(会費不要)し、その本を十分に聴いたらまた少しの期間有料会員になる、というのが長らく私の使い方でした。
オーディブルのシステム変更(2022年)
5か月ほど前、オーディブルの会員システムが大きく変わりました。冒頭に書いたように、月会費を払うと一定の範囲でオーディオブックが「聴き放題」となったのです。
これまでは基本月に新しい本は一冊しか聴けませんでした(その代わり、ダウンロードして自分のものにできます。退会しても聴けます)。それが、「12万冊」という大量のラインナップから何冊でも聴けるようになったのです(月会費だけでは本を購入したことにはなりません。退会すると、個別に購入したもの以外は聴けなくなります)。
「聴き放題」というのがどんなものか試してみたいと思い、再び有料会員になりました。
「聴き放題」のラインナップ
気になるのは、聴き放題のラインナップです。12万冊というのは膨大な数ですが、オーディブルの本全てではありません。「聴き放題の対象外」とされてしまっている本もあります。ここは留意すべきところです。
私が以前から聞いていたような英語のオーディオブックは、残念なことに「聴き放題対象外」となっているものが多いです。アーサー・ランサムの英語オリジナル版も、村上春樹の英訳版も「対象外」。
一方、日本語の本の朗読版は、最近のヒット本を含めてかなり充実しています。そして、それがかなり面白いのです。オーディブルのシステム変更以来、私の使い方は「気になる日本語の本を聴く」ことにシフトしました。
私の利用法(いま)
いま、私がオーディブルでよく聴くのは日本語の「最近の話題作」と「有名だけど読んだことはない昔の名作」です。
最近の話題作では、逢坂冬馬さんの『同志少女よ、敵を撃て』と凪良ゆうさんの『流浪の月』、米沢穂信さんの『黒牢城』。どれも、私が使う図書館で紙の本を予約しようとすると数百人待ちの人気作です。それが、オーディブルの朗読版ではダウンロードするとすぐに聴けます。人気本は「図書館で一年半ぐらい待つな」と思いながら気長に予約をかけることが多かった私にとって、このスピード感は衝撃的でした。
昔の名作では、何となく気になりつつも書籍を読むほどではなかった、夏目漱石の本を聴いています。森鴎外の短編もいくつか聴きました。
これからは、村上春樹さんの『職業としての小説家』、山口周さんの『武器になる哲学』など、小説以外のジャンルも聴いてみようと思っています。
どんなときにオーディブルを聴くか
私がオーディブルをよく聴くのは、食器を洗うとき、入浴中、洗濯を干すとき。外出時は、駅などから目的地まで歩くときに聴きます。電車内では紙の本を読むことが多いですが、少し遠めの場所を走りに行くときなどは、途中の電車やバスの中でオーディブルを聴くこともあります。あと、借りている小さな畑で草抜きなどの作業をするときも、最近はオーディブルをかけています。
映像なしのオーディオブックは、「目は他のことに使わないといけないけど耳は空いている」ときでも問題なく使うことができます。洗濯を干すとき、外を歩くとき、畑仕事の最中などはまさにそうです。「ながら聴き」は、動画の「ながら視聴」よりもできる場面が広いです。
また、音声のみだと動画よりも容量が小さいので、データ量の使用やスマホやタブレットのバッテリー消費が少なくて済むのも利点でしょう。
一方、本を聴くのはそれなりに時間がかかります。オーディブルの作品は長いものだと10時間〜15時間ぐらいになります。上に挙げた本だと、『同志少女よ、敵を撃て』が約15時間半、『流浪の月』が10時間20分です。
私の場合、感覚で言うと朗読版の長さは自分が紙の本を黙読した場合の2倍〜2.5倍ぐらいだと思います。私は大体、オーディブルでスピードを1.25倍に速めて聴いています。それでも、聴き終えるにはそれなりの時間がかかります。「面白くない、いまの気分に合わない」というものは、さっさと聴くのをやめるようにしています。
オーディブルで聴くのに適した本、向かない本
私がオーディブルを使うのはほとんど『ながら聴き』です。ほかに何かをしながら聴きます。なので、3割とか半分ぐらいの意識の向け方でもそれなりに話についていけるなものがちょうどいいです。難しい内容の本や登場人物がすごく多い本、展開が速すぎる本などは、自分にはあまり向きません。
たとえば、小説『三体』の日本語版がオーディブルの聴き放題に入っています。私は書籍でこれをとても面白く読みましたが、最初からオーディブルで聴いたとしたら、自分は話について行けなくなる気がします。
YouTubeでアバタローさんが名著を紹介する動画で取り上げられた、ソクラテスやマルクス・アウレリウスの本も背伸びしてオーディブルで試してみました。これらも私にはちょっとハードルが高かったです(「注12」とか、翻訳に書かれた注釈の番号まで読み上げられるのにも気を削がれました。注の内容を確認しながら聴きたいという場合にはよいのでしょうが)。
気になる人は、無料体験を試してみては?
オーディブル会員以外で、普段からオーディオブックを使っている人はあまりいないでしょう。いろいろと書きましたが、そんな方にはオーディオブック自体のイメージがつかみづらいと思います。
この記事を書いている時点で、オーディブルは「Amazonプライム会員がオーディブルに新規会員登録すると3か月無料、プライム会員以外は30日無料」というキャンペーンを行なっています。7/25受付までだそうです。その間に退会すればお金はかからないので(退会しないと、無料期間終了後、自動的に有料プランに移行されるので注意)、興味のある方は試してみるとよいのではないでしょうか。
退会する場合は、スマホサイトやアプリではなくPCサイトから行う必要があります。ここは不親切なところです。この点もご注意ください。「オーディブル 退会方法」などで検索すると、方法を説明してくれるページが見つかります。