ベランダ太陽光発電 半年使ってのレビュー
昨年秋にポータブルの太陽光発電パネルとバッテリーを入手して、半年あまりが経ちました。時間帯に応じて角度や向きをこまめに変えていた導入期は過ぎ、今ではもう生活の一部です。最近は日が長くなって発電量が増え、活躍の度合いを増しています。半年ほど使ってきた、小さな太陽光発電の機材をレビューします。
使っている機材
昨年秋に手に入れたのは、Jackery(ジャクリ)の発電パネル100Wとポータブル電源708Whのセット。パネルは収納時、真ん中で折りたためます。広げたときのサイズは高さ53cm 、幅120cmほど。バッテリーは重さ約6.8kg、満タンに充電するとスマホを約40回充電できるぐらいの容量です。入手当時、ウキウキしながら書いた記事がこちら。
その後、ひと月弱経ったところで「ひとつ容量が大きなモデルの1000Whの方が使い勝手がいいかも」と書きました。そして、冬に思い切って1000Whのバッテリーとパネル1枚を追加で入手しました。
Jackeryの100Wパネル2枚、1000Whと708Whのバッテリーが1台ずつ、というのがいま使っている機材です。
なぜ2台体制か
かなり高額なものを2セットも購入することには、ためらいもありました。でも、その方が太陽光でつくった電気をより活用できそうだと考えました。また、パネル2台ならどうにかベランダに置けそうだったことも、決心のきっかけとなりました。
これを一種の投資と考えるならば、「ペイする」のかどうかはわかりません。10年とか20年単位で見てどうだったかという話になります。パネルとバッテリーがそこまで長持ちしてくれるのかもわかりません。
素人の感触では、金銭的に「元を取る」のは難しいのではないかと思っています。ただ、最近は電気代がどんどん値上がりしています。さらに今年の夏、冬はまた電力が不足気味になりそうと最近のニュースで報じられています。春に「電力ひっ迫警報」が出たように、よもやの「大規模停電」が今後起きないとも限りません。
そんなことを考えたとき、家で多少とはいえ太陽光発電できるのは大きな安心感、リスク管理になります。この観点からも、2台体制にしておこうと決めました。
どのようにベランダにセットするか
ベランダという限られた場所に発電パネルを置く場合、どのようにセットするのかが大きな問題です。通常、ベランダは建物の日当たりのよい面に設置されているはずです。でも床面まで日が届くとは限りませんし、洗濯物との兼ね合いも考えなければなりません。
うちでは、最初はベランダの床面に置いていました。でもそれではあまり発電できず、いろいろと試しました。今では、ベランダに物干し台を置き、1mほどのところで高さを違えて竿を2本セットし(高さの違い、前後の幅ともに20cmほど)、パネルを斜めに立てかけるという形に落ち着きました。
Jackeryのパネルは、太陽に向けて斜めの角度に置けるよう、背面に二本の「足」のようなものが付いています。そこを高い方の物干し竿に引っかけてパネルの下部を低い方の竿で支えると、意外と安定するのです。
パネルの下部と低い方の物干し竿。
パネルの背面。本体と「足」をつなぐベルトの部分がいい具合に役立ってくれます。
ベランダに吹き込む風の強さや物干し台の安定度などによって、この形で問題なくパネルをセットできるかどうかは変わってくるでしょう。パネルが落下したり物干し台が倒れたりしてしまっては、高価な設備が台無しになってしまうかもしれません。誰にでもおすすめできるスタイルではありませんが、ひとつの例として参考に見てください。
私のところでは、この方法にしてから日をしっかり受けることができるようになり、発電量が大きく上がりました。洗濯物は竿の端に追いやられてしまいますが、どうにか干すことができています。
2台体制の効果
バッテリーの充電と使用の使い分けがしやすくなったこと、1000Whのバッテリーを加えたことで使える家電が増えたことが、2台体制にしてよかったことです。
充電(電気の入力)しながら使用(出力)もする「パススルー」は、バッテリーの負担が増えて劣化が早まるといいます。購入するまで知らなかったことです。高価なバッテリーはできる限り長持ちさせたいので、この使い方はしないことにしました。
朝は、日が出ているから充電したいけどバッテリーの電気も使いたいことが多いです。そんなとき、2台あると片方を充電、もうひとつを使用(それが終わってから充電)と使い分けられます。1000Whの方は専用のケーブルを使うとパネル2枚分をまとめて充電でき、こちらを先に充電に回すとパネルの発電を無駄なく取り込めます。
また、1000whは708Whよりも容量が多い(スマホ充電約40回と100回)だけでなく、より消費電力が大きい家電を使うことができます。ここも、最初にバッテリーを購入した際は十分に理解できていなかったところです。
家電には、それぞれ消費電力があります。これがバッテリーの許容範囲(708, 1000というバッテリータイプの数字がそれです)を越えると、使えないのです。消費電力の目安はこちらなどを見てください。
家電はどこかに消費電力が記されているので、実際に使っているものを確認してみるとよいでしよう。
私のところでは、708Whのバッテリーで使えるのは洗濯機まででした。1000Whが加わったことで、炊飯器と電気圧力鍋をバッテリーの電気で使うことができるようになり、料理への活用範囲が大きく増えました。
アイロンやドライヤーは1000Whでも使えません。さらに大きな1500Whのバッテリーを入手すれば使えるのかもしれません。でも値段が高くなるのはもちろん、重量もグッと増えます。家の中とベランダを日々持ち運びするには、1000Wh(10.6kg)がいいところだろうと私は感じています。
電気代は安くなるのか
ベランダ太陽光発電を始めてからの月間の電気代を前年同月と比べると、500円ほど安くなった月が一回、あとはほぼ同額もしくは400-500円ほど高くなっています。
最初は「あれっ?」と思いました。でも、電気代自体がこの一年ほどで大きく値上がりしてるんですね。「標準的な家庭」で昨年と今年を比べると月間で1600円ほど上がっている(東京電力の場合)という記事を最近見ました。
私のところはもともと使う電気が少なめなので、仮に値上げ分が1000円とします。とすると、実際の電気代は昨年同月比400-500円プラスですから、太陽光発電の金銭的な効果は月額500-600円ほどとなります。これを多いと見るか少ないと見るか。いかがでしょう。
朝ラン、在宅ワークと抜群の相性
私はランニングが趣味で、時間を見つけて走っています。ベランダ太陽光発電は、朝ランとよく合います。特に日の出が早い今の時期は、朝起きてパネルとバッテリーをセットしてからランニングに行くと、帰ってきてご飯を食べるころには幾らか充電されています。ランニングのために普段より早起きすることも多いので、その分充電の時間も長くすることができます。
もうひとつ、ベランダ太陽光発電と相性がいいのが在宅ワークです。「曇りのち雨」とか「雨のち晴れ」という予報のとき、丸一日外で仕事をする場合は太陽光発電をあきらめなければなりません。でも在宅ワークなら、天気に応じて機材とバッテリーの出し入れがしやすくなります。この意味でも、今の時代に合っているといえるかもしれません。
不満点・心配なこと
やはり値段が高いことが最大の不満です。あと、バッテリーの重量がもっと軽ければいいのにと毎日のように感じます。今は「こういうものだ」と思って使っていますが、今後どちらも改善していくことを望みます。
あと、これから夏を迎えるにあたって、かなり高温になるだろう場所にバッテリーを長時間置いて充電するのはあまり好ましくないのでは?と気になります。
Jackeryは高い安全性を売りにしていて、「本体が熱くなった場合は温度感知機能が作動して冷却ファンが自動的につく」とか「万が一誤操作が起きても、ショート・過負荷などを検知して充電・放電停止を行う」と公式サイトで説明されています。でも同時に「直射日光の下や暖房器具のそば、炎天下の車内など高温(40℃以上)になる場所で使用したり、放置せず、テーブルの下など日陰の場所を選んで設置してください。」とも書かれています。
夏は、すだれでバッテリーに当たる直射日光をさえぎる、などの対策は必要だろうなと考えています。
まとめ
半年あまり行ってきたベランダ太陽光発電をもとに、私が使っているJackeryの機材をレビューしました。太陽光を利用してベランダで発電・蓄電でき、それをある程度の家電で使うことができるということに、おおむね満足しています。
Jackeryはアメリカに本拠を置く会社ですが、製造拠点は中国のようです。このところ円安や物流の滞りなどでいろいろなものが値上げされています。今後は太陽光発電の機材も例外ではないかもしれません。
昨年の秋と冬に私が購入した頃は、定価より数万円割り引くキャンペーンがしばしば行われていて、それを利用して入手しました。ちょうどこの記事を書いている時点で、アマゾンでは1000Whのバッテリーと100Wのパネルのセットが「特選タイムセール」で通常より2.5万円ほど安くなっています。
Jackeryの機材はアマゾン、楽天、ヤフーショッピングなど各所でネット販売されています。興味のある方は値引きやポイント還元などに留意して、値上げされる傾向がないかどうかにも気を配り、なるべく有利に買える機会を探るとよいのではないでしょうか。
いただいたサポートは、ローライ35Sやローライフレックス2.8Cなどで使用するフィルムの購入や現像などに使わせていただきます。