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オーバーブッキングでホテルがなくなった話 in パリ

 フランスを旅行していたある日、携帯にメールが入った。

 俗に言うオーバーブッキングである。

 予約のキャンセルを見越して、少々多めに予約を受け付けることは旅行業界ではよくあることで、飛行機がオーバーブッキングをやらかし、1万円を渡すから後続の便に乗ってくれ...みたいな光景は繁忙期の羽田空港に行けばよく見られる。

 当時私は、フランス東部 アルザス地方のコルマール(colmar)にいた。木組みの建築が目立つ美しい街で、”ハウルの動く城”や”ご注文はうさぎですか?”の聖地にもなっている。午前中はコルマールの観光をし、昼下がりのTGVでパリに向かう予定であった。
 そのメールがきたのはちょうどパリ行きのTGVに乗り込み、一段落ついたところであった。
 予約エージェントからのメールには、代替のホテルの用意があるとの記載があった。これで当日の宿に困ることはないだろうと安心をした。
 メールの内容に従い、代替のホテルに宿泊する旨を了承する返信を送ったが、これを受理したとの連絡が一向に来ない。多少の心配はあったものの、とりあえず指定された代替のホテルに向かうことにした。

 用意されていたのは、パリ市街地からメトロとトラムを乗り継いで45分程度のところにあるホテルである。当初予約していたホテルはパリの中心からほど近いところだったが、代替のホテルはそこから6.4kmも離れたところにあった。不便ではあるが、寝られる場所があるだけマシだと思っていた。
 しかし、そのホテルに向かっても私の名前で予約などされていないと言うのだ。そんなはずはないと思い、何度か確認をしてもらったが、やはり予約リストに私の名前はない。さらに言えば、当日はもうすでに満室で宿泊できる部屋すらないというのだ。

 この時点で時刻は20時を回っており、状況的にはかなりピンチだった。予約エージェントに確認のメールを送ったものの、一向に返信がない。埒が明かないと思い、仕方なく自力で別のホテルを手配することにした。

 とりあえずagodaを開いて当日泊まることができるホテルを探すことにした。ホステルやゲストハウス等が多く表示されたが、これらにはあまりいい思い出がない。寝る時ぐらいは個人の時間が欲しいものだ。
 ホテル探しは結構難航し、パリ近郊の都市までフランス国鉄で移動しないといけないようなものばかりであった。
 小一時間探し続け、ホステルでもいいかと思っていたところ、オルリー空港の近くにコンフォートホテルが空いているのを見つけた。
 コンフォートホテルは日本国内にもフランチャイズのような形で多く出店しており、わりかし馴染みがあるホテルだ。

 この時点で22時を回っていたこともあり、急いでホテルに向かった。念のためホテルにもこれから向かう旨を連絡し、了承したとのメールが返ってきた。これで安心である。
 メトロとトラムを乗り継いで、到着できたのは23時半ごろ、かなり遅くなっていしまった。翌日に備えてさっさと寝ようと思った矢先、エージェントからメールが来た。代替のホテルの予約日時を間違えており、翌日のホテルを抑えていたというのである。併せて、もう代替のホテルは満室で用意できないとの連絡があった。
 自分で別のホテルを予約して本当によかったと心底思った。そのままエージェントに任せていたら野宿確定であっただろう。国内ならまだしも、海外での野宿は本当に危険だ。

 別のホテルを自分で手配した旨を返信し、その日はそのまま寝ることにした。

宿泊したコンフォートホテル

 翌日、エージェントから回答のメールがあった。
 そこには、当初予約していたホテルの宿泊費は全額返金すると記載があった。併せて、少しばかりのバウチャーをプレゼントするとも記載があった。
 かなり迷惑だったので、さぞかしいい額のバウチャーを送ってきたのだろうと思ったが、たったの5ドル分であった。これでは無駄に移動したトラム代にも満たない。
 とても残念だったが、何を言っても恐らく無駄なのでおとなしく引き下がることにした。

 今後は、宿泊予約をしたら、予約の確認も込めてホテルにメールで連絡をするようにしたい。

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