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6年ぶりのバレエ鑑賞
先日の、月に一度の全職員出社の日。郵便物を仕分けしていたら上司あてにバレエ団からの封筒が。「XXさんあてにバレエ団から封筒が届いてますよ~、すご~い!」と、傍にいた上司に手渡しました。そこでなぜ「すご~い」というコメントが出たのかというと、私はバレエが好きだから。
受け取った上司は「チケットかも~、行きますか~?」と言って封筒を開け、入っていた招待チケットをその場で私にくれました。その週末の招待券が2枚! 「え? (そんなに簡単にくれちゃって)いいんですか?」と念押ししましたが、「誰もいかないともったいないし」とのことでした。
その日は、ちょうど開演時間と同じ時刻に歯医者の予約がありましたが、歯医者さんはリスケすれば済むことですし、バレエを観るほうが圧倒的に優先!(歯医者さん、ごめんなさい!)、ということで即決。
これまで舞台を観たことがなかった牧阿佐美バレヱ団の知らない演目でしたが(だいたい私が知っているほうが少ないし)とにかく久しぶりにバレエの舞台を観られることのほうが嬉しくて。
お昼休みに娘にラインしたら、「行きたい!」と即レスが返って来て、久しぶりに一緒にお出掛けすることになりました。
私がどうしてバレエ好きかと言うと、娘が小学校一年生から8年間、クラシックバレエを習っていたからです。それまでは一切無縁の生活を送ってきましたが、娘の発表会(カワイイ衣装を着てスキップしただけだった?)から始まり、当時の先生が所属されていたバレエ団の公演を観に行ったり、クリスマスには定番の『くるみ割り人形』を観たりして、大好きになりました。
6年前に観たのは、東京シティ・バレエ団の『白鳥の湖』。
観に行った理由はふたつ:ひとつは画家のレオナール藤田の舞台美術が再現されていたこと。ふたつめはそれまで『白鳥の湖』を観たことがなかったからでした…。バレエ好きといいながら、ここを抑えてないなんて、あり得ない気もしますが!
とはいえ、6年前なので詳細は覚えていませんが、シンプルながら色合いの美しさが印象的な舞台だったと記憶しています。
そして2019年を飛ばしてそのままコロナ禍に突入し、昨年あたりか観劇やコンサート関係も解禁されていましたが、私自身は機会を逸していました。
前置きが長くなりましたが、そうして久しぶりに観たのは、牧阿佐美バレヱ団『ダンス・ヴァンドゥⅡ』。
観られて、本当によかったです!!!
短めの演目5つからなる構成で、その中に著名な振付師のジョージ・バランシンやローラン・プティの作品が含まれたのも、興味をそそられました。
そういう意味では古い作品と言えるのでしょうが、とっても面白い動きで楽しかったです。
男性4人が踊る作品では、モダンバレエのような体操のような動きがあり、ダンサーの個性がそれぞれ光っていました。バレエというとどちらかというと個性を抑えた均一な印象を持っていたのですが、「こういうのもあるんだ~?」と新鮮でした。
あんまり楽しくて、観ている時に自分の口角がくくくっと上がっているのに気づいてビックリ。普段、人と話すときなどに(愛想笑いも含めて)笑うのとは比べ物にならないくらいに、くいっと、上がっていたのです。それほどに心の底から楽しめた時間でした。
またローラン・プティの『アルルの女』は、小学生の頃に音楽の授業で習った曲で、大好きだったのを思い出しました。ただ、まさかこんな悲劇のストーリーとはこの舞台を観るまで、恥ずかしながら、知りませんでした。美しい旋律だな~と子供心に好きだった、その感覚が蘇り、それもまた楽しかったです。
一方で、今回ショックだったのは、全体の印象が”質素”だったことです。『アルルの女』は初演当時の舞台装置と衣装をそのまま忠実に再現されているということなので(ちょっと重みのある背景の油絵タッチの景色は、プティと親交のあったゴッホの影響らしいです)それはそれで納得ですが、他の演目は舞台装置がなくて照明の変化で背景の色が変わるだけ。衣装も全体的によく言えばシンプル、欲を言えばもう少し華やかさがあってもいいのかな~と思えました。それはあくまで演出上のことかもしれませんが、娘によると、芸術界は経済的にたいへんなんだ、と。
私が娘と一緒にバレエの舞台を楽しんでいたのは1990年代、バブルは崩壊してたものの、リーマンショックの前。その頃見ていた舞台は、『くるみ割り人形』や『コッペリア』などで、舞台美術も衣装も華やかな作品。また劇場に集う人たちもドレスアップしていて、そのお洒落でリッチな雰囲気を味わうのも会場に足を運ぶ楽しみのひとつでした。
今回は、そういう意味で、私自身のドレスアップもいまいち足りなかったことは反省点ですが、客席全体も、華やかなのは一見してそれとわかるバレエ団関係者のみなさまくらいで、全体的にかなり地味なものでした。
会場でいただいたチラシの中に、バレエ団への寄付の呼びかけがあったのも驚きでした…。哀しい気持ちになりました。日本は特に芸術家が生活していくのは厳しいとは聞いていますが。
元旦の能登の大地震をはじめ、天災続きの日本に暮らしているので、被災された方々への支援は最優先と思います。でも、一方で、こういう芸術の世界で生きている人たちも、提供される価値に見合った報酬を得られて生きていける社会であることも大事なのではないかと、今回、久しぶりにバレエを鑑賞する機会を得られたことで切に感じます。
最後になりましたが、バレエ鑑賞のもうひとつの楽しみはオーケストラの生演奏を聴けることです。今回改めて思ったのは、細かな微妙な動きにも音楽がぴったり合っていることのすごさ。しかもオーケストラですがから、指揮者がいかにダンサーの動きに合わせて演奏全体を導いているかってことですよね?
帰りには地元のお洒落食堂で娘のお誕生日祝いもして楽しい一日でした。
もうすぐ今の職場での勤務が終わりますが、イエス様から「おつかれさま」のプレゼントのような気がしています! 感謝します!
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