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松江(4)松江水燈路の灯

 毎年秋に松江で水燈路というイベントがある。この時期に訪れる観光客に、夕暮れから堀川辺や塩見縄手に行燈を置いて灯が照らし出し水の都の散策を楽しんで頂くもの。松江周辺の子供や社会人が作る手作りの行燈も飾られ幻想的な夜を味わえる。
 かなり前にこのイベントを目当てに泊りがけで出かけて、一度は行燈を作ってみたいと思った。ちょうど先月に行燈作りの講座があることがわかり参加した。
 松江高専の先生が行燈の軸になる木の枠を設計し、素人でも簡単に組み立てられるように準備して下さった。行燈の中に設置する灯はLEDでこの制作も電子工作として同じく高専の先生が設計し、製作を指導して下さった。
最初に骨組みを組み立てる。木材を釘でとめるのではなく、組み手で繋げる8本の木材を木工用ボンドで貼りあわせてスマートに出来上がった。次は照明の製作。基板に抵抗2本、そのあと、ダイオード、マイコン、コンデンサ、レギュレータ、トランジスタと決められた位置にハンダ付けする。
 ハンダ付けなど、とおーーい昔にほんの少し触った程度。ハンダゴテを微細な部分にあて、ハンダをジュワと流す。「練習しましょう」とサンプルの基板にコテをあて「1、2」と数えて温度を上げ、ハンダを近づけ、溶かし、接続する、を繰り返す。慣れないことでかなりの集中力と根気が必要だ。作業しながら、確実に取り付けているかのチェックはどうするのか気になって質問すると「目視です」との答え。
基板から浮き上がっていないか?、取り付けの方向は?、電気だから+-を間違えたら?と心配になるけど、先生はどこ吹く風という感じで参加者の手元を見ているような、いないような。
「これでいいのでしょうか?」とおそるおそる差し出すと、「いいですね、北朝○製ではないですよ」と冗談を飛ばされる。
だんだんコツをつかみ、「先生、メイドインジャパンのつもりですが・・・」と言いながらチェックして頂いたりしながら作業が進む。LEDを6つと電源コネクタを取り付けLEDが点滅するか確認する。点灯した時は嬉しくて思わず手を叩きたくなる。でも、無事に工程が進んだからと安心してはいけない。電池ボックスと配線をつなぎ、アクリル板で囲み、このボックスに貼って完成。
「急いで下さい。木枠に絵や文字を書いた和紙を貼りあわせ行燈を完成させて下さい」と檄が飛ぶ。終了時間が近づく。
大慌てで和紙を選び、貼った。やっと出来たと思った時、心地よい疲れを感じた。
ゆうこの山陰便り №139

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