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海の幸(4)岩牡蠣

いつ頃覚えたのか思い出せないけれど、「r」の綴りが月名に入っている時季(April等)は牡蠣を食べてはいけない、を知っていた。
 ところが山陰にやってきて、夏に牡蠣を食べることを知った。じゃあ、「r」の文字が入っている綴りの月のことは?・・・。太平洋側で生産されるのが真牡蠣(true oyster)で、日本海側の牡蠣は岩牡蠣(rock oyster)と言い、旬が違うとわかった。私が知っていたのは真牡蠣のことだ。

数年前の夏、岩牡蠣は、一皿(5個くらい)500円以下で地元の魚屋さんで売られていたらしい。関西方面から訪れる観光客の目にとまり、とぶように売れたそうだ。よく言われることだけど、地元では地元の良さは当たり前で価値があると認識しない事例だ。しかし、観光資源だと認められるとブランド化の機運が高まった。
 岩やコンクリートにくっつき、時間をかけて成長するため、長さ20cm、重さ1kgくらいの大きな重いものもあり、素潜り漁で採られる。天然もの、平形、13㎝以上だと鳥取県では「夏輝」、島根県では「春香」(隠岐の島が産地)という名前で今は売られている。

 岩牡蠣の水揚げ時期は6月~9月のおよそ3ヶ月間。水温が高い夏の間でも味が落ちることがなく出荷できるとのこと。とかく、サイズが大きいと大味だと言われそうだけど、その味は繊細でジューシー。海のミルクと絶賛される。もちろん「養殖もの」もあるが高価なのはもちろん天然物。
寒暖計が壊れそうな夏場では、和風旅館や料亭、居酒屋さんで、大人気だ。我が家ではブランド岩牡蠣を夕飯用には買わない。地元の良さで規格外の品がスーパーにも並ぶから。今夜は岩牡蠣で一杯とにんまりしながら買ってくるけど、さて、どう料理するのかというと、時間と腕力?がいる。
 ホームページの動画で解説があるが、岩の塊という感じでいったいどこを目指してこじ開けるのか、見当がつかない。で、どうするか・・。鉄板を熱くして洗った岩牡蠣を入れ、蓋をする。しばらく待っていると、わずかに蓋があく。貝の気が変わらないうちに、わずかな隙間にナイフやドライバーをさしこんで・・・という作業は主人にして貰う。私は側で「開いた、開いた」と騒ぐ役。

 なまこやウニと同じようにこの岩牡蠣を人類で一番最初に食べた人に敬意を表しながら頂きまーーす!
ゆうこの山陰便り №150

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