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大地の恵み(7)ペルル

昨年「このメロンは甘いよ」と友人から教わった。近くの産地直送の店でみかけ、眺めていたら出品者と思われるおじさんからそのメロンは鳥取県西部、島根県東部で栽培されていると聞かされた。そして「これは、生産者が気合をいれて作っているんだよ、うまいよ」と言ったので、東京の娘に送った。ペルルという。
今年は6月に入って市内を探したけどペルルにはなかなか出会わなかった。
 弁当忘れても傘忘れるなと言われる山陰で、今年の梅雨は梅雨らしくない。晴れて気温も低く湿度も上がらない。こんな天候だから、育たないのかな、と心配した。店の人に聞くと、そういえば入荷する話しがないですねえ、と心もとない。
 月末に店頭でやっと見つけ、お世話になった人に早速送った。その時
「今年のペルルは、出回る時期が短いですよ」と言われた。
7月になって、やっとスーパーでも見かける。見ただけで幸福な気持ちになる。

ペルルは、肥後グリーンとよばれる品種の仲間。プリンスメロンのように表面がつるつるではない網目状。とにかく大きい。2キロ、3キロの大玉もある。大きいにも関わらず味は細やかで糖度は16度。めっちゃ甘いのだ。
山陰では力をいれてこのメロンに肥料というか土に良い物質を加えて栽培している。良い物質=蟹だ。えっ、あの蟹を肥料?と慌てないで下さい。甲殻類の殻にキチン質キトサンという栄養素がある。この蟹の殻を粉砕したものを撒いて土壌をつくり、メロンを育てているそうだ。害虫に強く植物の成長にはとても役立つとのこと。
キチン質キトサンはもともと自然界にあったのだけれど、農薬などで昆虫が減ってしまったそうだ。だから、補充して農作物の成長を助け、よい品質の果物に仕上がるという研究結果があるそうだ。
店では、冷暗を保てる場所に置いていい香りがしてきたら食べごろ、買ってすぐに冷蔵庫で保存してはいけないと聞いた。そこで我が家では仏壇にお供えする。障子をしめれば暗く冷たい仏間だから。
美味しい香りが出たら、ご先祖様、いただきまーーーす(うふっ)にする。
ゆうこの山陰便り №137

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