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プラスチック包装の代わりを探して

ピカピカで透明な袋に包まれていると、ハンドメイドに「商品」っぽさが増して「ちゃんとしてる感」が出る。表面が均一で工業くささが出るせいだろうか。プラスチックを嫌悪しているはずなのに、「ちゃんとしてる感」を覚えてしまう自分がいる。

今回、ギャラリーでの展示販売でオリジナルのグッズを置くときに直面した課題が、どうしたらゴミになるだけのプラスチック包装を避けられるか?だった。

結果として今回の展示販売では、紙の包装を使うことに落ち着いたのだけど、そもそものプラスチック問題をもっと知っておきたくて調べてみたことをシェアします。自然に還る最新技術のプラスチックのこと、むしろプラスチックは再利用できるから問題ないという主張もあるけれど(これは疑っているし言い返したい気持ちもあり)、集めた情報をまとめておこう。

『自由研究 エシカルにクリエイティブ』では、自分なりに疑問に思った過程や調べてみて現時点でわかったことをシェアします。わたしが得ていた情報が古かったり、誤認がある場合はコメントをいただけると とても有難いです。   → エシカルにクリエイティブ 研究ポリシー 筆者より

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THE プラスチック包装のOPP袋

よくお店で目にする透明でパリッとした質感のプスチック包装があると思う。OPP袋として業務用から一般向けまでたくさん売られている。これ、バレンタインで手作り派の人にはおなじみのやつだ。手作りお菓子を入れるために100円ショップで買ったあの透明な袋、あれがOPP袋。他にも、ポストカードが個包装になって売っている、あの袋もOPP袋。

透明だから中身が見えるし商品に汚れもつかない、便利なOPP袋。クリエイターがグッズ販売をするならOPP袋に入れるのが一般的だ。

まず、OPP袋は何でできていて再利用はできないものなのだろうか?と思い、調べてみた。

もし再利用ができず、問題となっているマイクロプラスチックの一因になってしまうのなら、エシカルな選択とは言えないので避けたいところなのだ。

OPP袋は再利用できるのか?されているのか?

OPP袋とは、数あるプラスチックの種類の中でも熱に溶けて再生することができる種類でできているそうだ。熱可塑性樹脂に分類される。

分類すると OPPフイルムは 合成樹脂の中の熱可塑性樹脂のポリプロピレンであるなど 分類別に詳細を調べると そのフイルムの特性がよくわかります
引用元:SIDESEAL.JP(https://sideseal.jp/info/opp袋とプラスチック)

熱に溶けるので再利用もできる、と袋メーカーのHPで紹介されていた。それによるとOPP袋の生産過程で発生したもの、穴があいたものやサイズ違いなど使えなくなった素材を溶かし、ビーズのような形にしてからプラスチック再生原料となっていた。

参考:ワークアップ株式会社HP(https://www.fukuro.in/page/2176

たしかに、このように生産の現場での資源を無駄にしない取り組みはすばらしいので、ぜひとも生産ロスは廃棄せずに再利用をしてほしいと思う。けれども、これと同じことが消費者の手にわたった後のOPP袋でも再現できるだろうか?と思うと...現状では厳しい。ここでは、汚れていないOPP袋がしっかりと分別することができて、しかも生産現場だから製造された原料が明確にわかっている、だからこそできるのでは?とわたしは思ってしまう。

実際に市場に出て消費者の手にわたってしまえば、汚れた他のごみと混ざった状態で回収されているのだ。仮にプラスチックの再生原料になれたしても、汚れや不純物が多く再び透明なプラスチックにはなれないのではないか。

リサイクルの厳しさは東京都環境局のWebサイトにも明記されている。

【マテリアルリサイクルの現状】
一般廃棄物では、PETボトルやトレイなど分別しやすいもののマテリアルリサイクルは比較的進んでいるが、その他のプラスチック類の場合には、汚れ、複合素材、素材が分かりにくいものなどが多く、素材としてのリサイクルが難しい。
産業廃棄物のマテリアルリサイクルは一般廃棄物よりも進んでいるが、これは主に生産・加工時に発生するロス品を利用するものである。
引用:東京都環境局(https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/basic/conference/resource/tokyo/repo_promo_recycle.html)

プラスチックのリサイクルにおいて、一度使われたものが透明なプラスチックに戻ることは理論上は可能でも、現実には難しいことがいくつかのWebサイトに書かれていた。(それぞれ根拠は示されていない場合もあるけれど)

プラスチックの再生製品は、黒や茶色の別のプラスチック製品となる。実際には透明なものには戻れていないようだ。

透明でクリアなボトルから再び透明なボトルを作ることはなかなか難しいんです。リサイクルの過程で不純物が混じり、質が落ちるからです。中身がクリアに見えるボトルでないと消費者は買ってくれないから、結局、新しいペットボトルが作られています。
引用:プラなし生活(https://lessplasticlife.com/plastics/trash-recycle/why-are-plastic-recycling-rates-so-low/)

わたしは使わないことを選ぶ

ここまで調べてみて「OPP袋は使いたくない」とわたしは思った。OPP袋は便利だ。商品をキレイに見せて、キレイなままで販売することができる。しかし現状では、OPP袋は一度市場に出たらプラスチックゴミとなる。一方通行だ。透明なOPP袋は、再び透明にはなっていない。OPP袋を使えば、また新しいOPP袋を作る資源が必要になる。ならば、わたしは使わないことを選ぶ。

となると、グッズ販売の包装はどうしよう?というわたしの課題が解決していない。別の選択肢を探ってみよう。

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自然に還るプラスチック袋とは?

最近の技術で「自然に還るプラスチック」というのを聞いたことがあるので、個人でも買えるものがないか調べてみた。

「生分解性プラスチック」というもので、プラスチックゴミが自然環境に漏れてしまっても微生物などによって分解されていく、というイメージを受ける。が、調べてみるとその希望は打ち砕かれてしまった。。。

現在市場に出回っている生分解性プラスチックの大半(ほとんどはポリ乳酸)は、海中でほとんど分解されないか、もしくは分解するのに極めて長い長い時間を要します(Karamanlioglu & Robson 2013)。ですから、「生分解可能」「堆肥化可能」という環境に優しい文言がついたプラスチックならなんでも安心ということはまったくないのです。
参考:プラなし生活(https://lessplasticlife.com/marineplastic/driver/biodegradable_plastic/)

(上記リンクはネタ元が明記されている)こちらを読んで分かったのは、生分解性プラスチックは完全な解決策ではない。ここまで読んだあなたにはぜひ上記リンクも合わせて読んでみてほしい。

《生分解性プラスチックのまとめ》
生分解性プラスチックといっても異なる性質に分類される
1.  素材がPLA(ポリ乳酸)は50℃以上で分解される
2.  酸化型生分解性プラスチックは従来のプラスチックと大差がない

一見ベターな選択にみえるPLAという素材の生分解性プラスチックだとしても、50℃以上という環境で処理されなければ分解が進まない。ポイ捨てやゴミ回収過程で自然界にでてしまったら従来のマイクロプラスチックの問題と同じことだ

とはいえ、従来のプラスチックよりはベターだとわたしは思った。

植物由来のプラスチック

その他にも「バイオマス プラスチック」という植物原料を一部配合しているプラスチックがある。「一部」の他には何が使われているのだろう?という答えは、まだ見つけられていない。上記の生分解性プラスチックを思い出すと、植物原料+PLAでできたプラスチックならばいいのになあ、と素人考えで思ってしまう。

さておき、原料が植物に替わることであらたな石油資源の使用を抑える、という点はいいところだ。「バイオマス プラスチック」このキーワードで探すと、個人でも購入できる包装袋がいくつかあったのでメモしておこう。

↓一部バイオマス原料を使った袋。配合率は不明。

↓こちらは植物原料30%と他より高い配合率だった。

trusco グリーンエコポリ袋
https://product.rakuten.co.jp/product/-/c1fcc5e316403c9ec86498ac642edb96/?l2-id=pdt_pankuzu

他にも調べてみたけれど、残念ながら袋のサイズ展開とビジュアル的にオリジナルグッズ販売の包装には使えなさそうだったので今回は断念。


では一旦、「個人でも買える」という条件を忘れてみよう。

視点を広げて海外をみてみると、海藻からプラスチックを作る技術も進んでいるようだ。記事を読むと雇用の少ない地域であたらしく雇用を生むという利点もあるようだ。エコ以外の視点でもエシカルな選択肢だと感じたし、この記事を読んですこし明るい気持ちになった。

まとめ・考察

では、オリジナルグッズの展示販売用に包装袋が必要だったので調べてみたまとめ。

よく使われるプラスチックの包装袋であるOPP袋はリサイクル可能な素材でできている。生産現場ではプラスチック再生原料へとリサイクルができている。しかし、一度生産現場から市場にでてしまったものの現状は一般ゴミとなっている。汚れや不純物が混ざることが妨げとなり、再び透明な袋に戻ることはないと分かった。

生分解性プラスチック、バイオマスプラスチックと呼ばれるあらたなプラスチック包装袋が「エコ」な選択肢として登場し、市販されている。現状のマイクロプラスチック問題のように適切に回収されずに自然に流出してしまうリスクに対しては、こちらも完璧ではない。しかし、あらたな生産石油資源を節約できるという点では、従来のプラスチックよりベターな選択だと言える。どうしてもプラスチック包装が必要な場面(商品の郵送など防水性が求められる場面)には、この新しいプラスチック袋を選ぼうと思った。

今回は展示販売用なので、簡易的に汚れ防止ができれば問題ない。「プラスチックゴミを出さない」を優先し、紙の包装袋を選ぶことにした。


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ちなみに、わたしが今回制作したグッズのサイズだと市販の紙包装袋ではぴったりサイズが無かったので、袋は手作りしました。(こだわりすぎ?)

ギャラリーでの展示終了後、storesで販売を開始したのでぜひご覧いただけるとうれしいです!

※ギャラリーやイベントなどの対面でのお渡しではない、オンライン販売では郵送時に防水性が必要です。やむを得ずプラスチック袋に入れてお届けするかもしれません。その場合は状態のいい2度目3度目の袋を選ぼうと思います。



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