夜電灯を消せない理由
私は夜、電灯を消さずに就寝する。
正確にはかつてそうしていた。
理由は簡単で、電灯を消すと必ず金縛りに遭うからだ。
この金縛りは厄介で、怖いと言うより呼吸まで止まる。
筋肉全部が動いていないのだろう。
恐怖は当然、得体の知れない何かに対してではなく、息が出来ない現状に集中する。
何度ももがいて深く呼吸をすれば何とか解けているのだが、濃密な何者かの気配がすることも多い。
そんなときは
どうしよらああ!! どこのクソあほんだらな!
出ていけドクソボケがああああ!!!
と叫ぶ。
もちろん何者かの気配は消え失せている。
その後、とても怖くなってくる。
私は人としてどうなのだろう…と。
なので電灯は消さない。
不可解なものの恐怖からは逃れる方法があるかも知れないが、
そんな自分自身からは逃れられないからだ。
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