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山ペンギン44 ふるさと?の山に行こう

主任が突然
「イマド君のふるさとに行こう」
と言い出した。

本当に山で生まれたのかはわからない(本人も知らない)が、とりあえずいつぞやの洞窟に行ってみることにした。

「ひさしぶりですね。」
泉の近くで女神が出迎えるが、むしろここにいることに違和感を感じる。
「まったく・・・職場を何だと思っているんだ。」その場に専務もいる。
「今の時代リモートですわ。」

「一応訊くが、例えばお前の仕事が自分の職場周りを守ることだとしよう。そうすると警察官と同じ仕事ってことになるな。じゃあ、もし警察官がすべて「リモートで仕事をしよう」と言い出したら、お前どう思う。」

「もしかして、AI搭載のロボットがリモートで指示を受けて捜査したほうがいいかもしれません。」

「お前に何かを期待した私がばかだった。」
「いいえ、専務は優秀ですわ。」「部下のお前が言うな。というかそんな話をひろってフォローすんな。」

「とりあえず、あの氷室に行ってみよう。」

洞窟の中の「氷室」に入ってみる。

「寒いだけで何も変わったものはありませんわね。」
「ここでイマド君が生まれたわけではないだろうけど、寒い場所とペンギンの外観は何か関係あるのかね。」

オレはひそかに「主任と女神は性格が似ているな・・・」と思っていた。

「あ、こんなところに彫像が。」

なんだこれ。

見た目、トリとも恐竜とも言えない、だが、2本歩行と思われる生き物?の彫像があった。
目はつり気味で大きく、瞳の形は丸く大きい。白目部分に当たるところは黄色っぽい。まぶたと思われる部分はあまり見て取れない。
口元は裂けているようで、キバのような小さめの歯が見て取れる。
全身は固く冷たい皮膚に見えるが、毛穴と思われる部分はそこそこ大きく見える。
腕は細く、指の先の爪が長い。顔全体の印象はトカゲのそれに似ている。
それに反して、太ももは大きく、ひきしまった筋肉だ。
跳躍に向いた足と言えるだろう。
足も指が長く、爪がとがっている。

「人なのか何なのかもわかりませんわ。」

絶対に人ではないと思うが、今までの一連の出来事のせいで自分の感覚に確信が持てない。

「何か書いてありますわ。えっと、「この地に至るもの。いらっしゃいませ。
楽しく観光してくださいね。帰るまでが遠足です。」」

・・・・・・。

観光地においてあった像を単に片付けているだけじゃねえか。

だが、イマドは食い入るように見ている。
まさか、自分のルーツに関わる何かを感じ取ったのか?全員が黙って緊張してその姿に注目している。

「この彫像って・・・」
ごくり。
「この姿と皮膚の感じなら羽毛は、絶対あったと思うのに、彫られてないんだね・・。」

わかったから、さあ、家に帰ろう。
ホームグラウンドはどうも、オレの家ってことで。

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