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コロナ自宅療養者に貸し出し. パルスオキシメーターの簡単で正しい使い方

全国でも, 新型コロナウイルス感染の自宅療養者にパルスオキシメータ-を貸し出す自治体が増えています。

パルスオキシメーターは簡単にいえば血の中にどの程度酸素があるかをみるための機器です。 とても簡単で便利な医療機器です。

でも使い方を間違えると正しい値が出ないですし誤った判断は危険です。そこで, この記事ではパルスオキシメーターにの使い方をまとめたいと思います。

この記事を読めば, 以下のことがわかります。

1. そもそもパルスオキシメーターって何?
2. どうやって使う?
3. (重要!) こんな時は使えない-対処法
4. (重要!)数値はどう判断したらいい?

このパルスオキシメーターは血の中にどの程度酸素があるかをみるための機器です。 コロナで肺炎がおき、ひどくなってくると肺から体への酸素の取り込みが悪くなります。 これを自宅療養者にチェックしてもらうというわけです。

コロナの患者さんは時に体の中の酸素濃度がとても低いのに息が苦しくない人がいます。こういう人は気づかないうちにすごく重症になっていることがあります。怖いですね。

こういう方を見つけるにもパルスオキシメーターは役に立つと思います。

1. パルスオキシメーターって何?

別名酸素飽和度モニターとかサチュレーションモニターなどとよばれます。世界中の医療機関で使われていますが, 実は日本で開発されたものです!

下の絵のように指(たいてい人差し指の爪の部分)をクリップのように挟んで使います。指をはさんでいる部分には光を出す部分があり, ここから出た光が指を透過して反対側の光を受ける部分に入ります。

酸素は赤血球中のヘモグロビンというタンパク質によって運ばれます。酸素が多くくっついたヘモグロビンはより赤い色をしています。酸素がくっついていないヘモグロビンは黒っぽい色をしています。
指に光を通すことにより, 赤い色がどれだけ透過されるかという原理で, 酸素のくっついたヘモグロビンが全体のヘモグロビンの何%あるか(酸素飽和度)を測定することができます。

この絵の98は酸素飽和度が98%であることを示しています。つまり, 全体のヘモグロビン中の98%が酸素とくっついているということです(とても良好♡)。(ちなみに70という数字は脈拍です)

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2. どうやって使う?

①人差し指を爪を上にしてクリップのようになっているところで挟む
②電源を入れる
③ 測定値を読む

これだけです。

注意点として, 測定がはじまると, 上の絵にあるようなハートマークが点滅したり, 下の写真のように波線がみられます。これは脈拍を同時に測定しています。この波線の形が安定して繰り返してでていて, 脈拍と酸素飽和度の値が両方が安定して出ているときが, 正確な値として使えます。波線がちゃんと出ていないときは, 正確に測定できていません。

(下の写真では%SpO2のところが酸素飽和度で, PR(bpm)が脈拍を示しています)

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3. (重要!) こんな時は使えない?-対処法

こことても重要です。以下の場合は正確に測定できなくなるので注意しましょう。

正確に測れない場合
 マニキュアや爪の汚れ
 指先が冷たい場合
 指が震えている場合

パルスオキシメーターは動脈の血のヘモグロビンを測定しています。

動脈とは?
人は肺で酸素をとりこみ, 赤血球中のヘモグロビンにくっつきます。酸素の多い血液は肺から心臓に送られ, 心臓から全身へ送られます。この血液が通る血管が動脈です。ですので拍動しています。手首で脈をみるときに触れるのが動脈です。
一方静脈は, この全身の組織に酸素を受け渡して, 酸素が少なくなった血液をまた心臓もどすときの血管です。これは拍動はみられません。

パルスオキシメーターは動脈の血液中の酸素をみています。動脈には拍動があるということを利用して静脈と見分けています。
なので, 動脈の拍動がなくなるような状況では正確な値がでません。

たとえば, 指先が冷たくて血管が縮んでしまって, 血液が流れにくい場合や, 拍動と間違えるような指が震えているような場合は正確な値がだせなくなります。
こういう場合は手を温めて測り直す必要があります。また指によって測定できたり、できなかったりすることがあるので、人差し指以外も試してみましょう。

もちろん、マニキュアのような光が透過しにくいような状況も無理です。必ずおとしてから使いましょう。

4. (重要!)こういう場合は危険と, どう判断したらいい?

では計測した数値は何をしめしているのでしょうか?
安全をとっての大体の目安として

✓ 正常値は通常95-100%
✓通常92-93%以下で酸素投与を必要とする

ただし, もう一つ重要なことがあります。

✓(重要)正常値でも息が苦しい場合は安心できない

私達医師が判断する場合、患者さんのいろんな状況を考えてみています。
例えば, 正常値でも息切れがありハアハアしている場合は異常と判断したり, はじめ正常値でも時間をおいて値が徐々に下がってくる場合は注意をしたり, 逆に90%程度と低くても慢性的な肺の病気で低いような人では酸素投与はしないこともあるなどいろいろです。
この辺は難しいため, 値が気になればお近くの医療機関に相談するか, もしくは自宅療養されている方は自治体の在宅療養に関する担当部署に相談するようにしましょう。また自宅療養されている自治体が出している冊子や説明書など, もしくは担当員にどういう時に連絡すべきかを確認しておくとよいと思います。

まとめ
✓ パルスオキシメーターは血液に酸素がどれだけあるかを確認できる機器
✓指に挟んで, スイッチいれて, 脈拍の波形がちゃんと出ているときの値をみる
✓指が冷たかったり, マニキュアがあったり, 手を動かすと正確な値がでない
✓正常値は95-100%だが, 正常値でも息切れがしたり, 徐々に低下傾向にある場合は注意が必要

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