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なぜ集中治療医に?-重症な病気を治すために重要なこと

内科医, 集中治療医の優子です。

前回の続きを書きます。

前回は総合内科医として丁寧に患者さんの症状をきいて, 患者さんの体を診察して正しい診断につなげることが重要で楽しいことでしたということを書きました。

まあ, いろいろ偉そうなことを書いてますが, まだまだ私は修行中。失敗もいろいろありますので, ふーんてな具合に読んでいただければ幸いです。

今回は後半、なぜ集中治療医になったのかということを話します。
また需要がない内容ですみません。

病気によって時間軸が違う

病気っていろんなものがあります。中にはゆっくり発症するもの, 1-2週間で治るもの, 今すぐ対処しなければ治らないものなどです。

例えば, 関節リウマチのように, 週から月の単位で徐々に発症していくものです。

一方, 心筋梗塞はいかに早く診断して, 早く心臓カテーテルに連れて行って, カテーテルで詰まった心臓の血管を治療するかで、その人が助かるかどうかが決まります。

当然、 私達医師は病気の勢い(つまり時間軸)に合わせて対応します。

つまり, 急激に進行する病気に対しては, 診断までの時間があまりありません。やっかいなのは, 病気によっては似たような症状をおこす疾患がいくつもあるときです。

重症患者を救うために欠けてはならないこと

前にも書きましたが, 病気というのは正しい診断をつけなければ, 診断にあった正しい治療が行えず患者は助かりません。

一方で, 診断というのは, ちゃんと症状を確認して, 体を診察して, 検査をしてという時間がかかるものです。

この診断をしている過程で重症の患者さんはどんどん悪くなっていきます。例えば, 意識がおかしくなったり, 呼吸がおかしくなったり, 血圧が下がってきたり, 

こういう急激な変化がある疾患を悠長に診断していると患者さんは助かりません。

私達はそうならないように, 診断がついて正しい治療をはじめる前に, 患者さんの全身の臓器を保つためにの治療を行います。

例えば, 気管挿管といって空気の通り道に管をいれたり, 人工呼吸をおこなったり, 血圧を上げる薬をつかったり, 緊急で透析をおこなったりです。こういうのを全身管理ともよびます。

これが集中治療医や救急医の役割の大きなものの一つです。

つまり, こういった急激に変化する患者(重症患者)の治療には, 正しく正確に迅速に診断する能力も必要ですが, それを支える全身管理が必要なのです。

重症の患者さんを救うために絶対必要なこと
1. 迅速で正確な診断と診断に合わせた治療
2. 診断にかかる時間を稼ぐための全身管理

全身管理は上手にやらなければかえって患者さんに害を与えることがあります。人工呼吸器を下手くそに使えば人工呼吸器自体で患者さんの肺に傷害を与えます。

こういったトレーニングは集中治療の分野で学ぶことができます。

私は診断することが得意な内科医(いっちゃった😋)として, 軽症から重症までの患者を救いたいという気持ちがずっとあり, この分野を内科に加えて学んだわけです。

この分野はまだまだ医師が少ない分野で, 私のように内科出身でこの分野をやっている人はさらに少ないです。もっともっと増えたらいいのにといつも願っています。


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