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さよならGoodbye#23

第23章 最初の犠牲者

そんな不安の中、彼は眠れない日が続いた・・・
そして突然の携帯電話が鳴る
「もしもし・・・」
しばらく無言が続く電話口からは激しい雨音だけが聞こえてくる
「もしもし・・・やられた・・・あいつの仕業だよ」
「里佳子さん?」
「バイクで事故った、山王病院まで迎えに来て・・・」
里佳子はそれだけ言って電話を切った。

えっ何?やられたってどういうこと?朝の4時だよ電車もないよ!
ただならぬ雰囲気に気が動転するもタクシーを飛ばして山王病院に向かう彼・・・
雨に赤坂のネオンがにじむ よく知った赤坂の町もタクシーの窓越しに見る
景色は何か異国に来た様な感じがした。

彼は、里佳子から聞いていた病室402号室に向かう
病室には数名の警察官もいて彼女は事情聴取をまさに受けているところだった。
彼は病室の外の廊下の長椅子に座り、ボーっとその光景を眺めていた。
事情聴取は30分ほど続いた・・・
あまりに長い時間だったので、彼は眠気に勝てず長椅子で寝てしまっていた。
何人かの警察官のうち一番若い警察官が気を利かして彼に小声でをかけた・・・

「お待ちどうさま・・・終わりましたよ・・・」
「あっはい・・・」まだ夢から覚めない彼・・・そんな彼にその若い警察官はこう続けた・・・
「彼女も全治3か月程度のケガで済んで奇跡ですよ!下手すれば大惨事につながる事故でしたから・・・」
「そうなんですか?ありがとうございました。」
警察官にお礼を言って病室に入る彼・・・
そこには包帯でぐるぐる巻きになった足を専用の器具で吊り下げている彼女の姿があった。

「大丈夫?」
「大丈夫じゃないよ!左足が複雑骨折!全治3か月!バイクは全損!」
「いったいどうしたんですか?」
「警察が調査してくれるそうなんだけど、どうもバイクに細工されていたみたい・・」
「細工?」
「そう、ブレーキに細工がされてた様で止まれなくなって見付の交差点でバスに突っ込んだのよ!死ぬかと思ったよ!」

「明らかに、有島洋子の仕業ですよね?警察には言ったんですか?」

「言った、言った、あと、君と君の愛しの彼女の件も言っといたよ」

「ありがとう!何か警察は言っていました?」

「保護観察をつけてくれるらしいよ、後で確認しておくと良いよ
赤坂警察署の田中さんって言う人が担当してくれるって・・・」

「ありがとうございます。」

彼は、里佳子さんに申し訳ない気持ちでいっぱいだった。

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