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「トランス脂肪酸低減」マーガリンってどういうこと? メーカーに聞いてみました。
国が放置気味だったトランス脂肪酸問題とは?
食と健康に関心のある人ならご存知、トランス脂肪酸問題。
そのままでは液体状の植物油(食用植物油脂)に、人工的に水素を添加してバターのように固まらせた油(部分水素添加油脂:硬化油脂)を混ぜて作ったものが、マーガリンやパンやお菓子作りに使われるショートニングなどの加工油脂ですが、その際できてしまうのがトランス脂肪酸。
トランス脂肪酸は、不自然な脂肪酸なので、体内での分解・代謝に大量のビタミンやミネラルを消費し、体に大きな負担をかけます。その上、活性酸素を大量に作るので、老化やさまざまな病気の原因になるのです。
具体的には、以下のような弊害があると言われています。
・冠動脈疾患の原因を作る。
・DNA修復酵素の機能や免疫機能を低下させる。
・大量の活性酸素を作る。(活性酸素は老化や病気の原因に)
・脳にも有害である。
・内臓脂肪として蓄積する。
・アトピー、クローン病の原因を作る。
WHO(世界保険機関)でも、トランス脂肪酸は、1日の総エネルギーの1%未満に抑えるべき、という勧告を出しており、ヨーロッパやアメリカでは表示義務や規制ができて、危険性の意識が高まっています。
しかし、日本は「日本食はトランス脂肪酸が少ないから」などと言って、長いこと何の規制もしていませんでした。
日本人だからといって、日本食ばかり食べているわけではないし、「植物性が体にいいから」とマーガリンをたっぷり塗ったパンを毎日食べている人や、ショートニングがたくさん使われたケーキや焼き菓子から、知らず知らずにトランス脂肪酸を摂ってしまっている人も多いと思います。
WHO勧告の1%未満というと、日本人の場合は2gちょっとですが、フライドポテトで5g、ホットケーキ4g、ドーナツ4〜7g…など、それだけで、1日分を大幅に超えてしまう食品も多いのです。
こんな状況なので、日本でも徐々に気にする人が増えていました。
そこで2011年、ついに消費者庁が「100g中3gの含有量を超えたら表示すること」を義務付けたのです。
最近見かける「トランス脂肪酸の低減に取り組んでいます」表示
私自身は、オリーブオイルの輸入販売をしていた時期があり、食用油について詳しく調べていて、トランス脂肪酸はなるべく摂りたくなかったので、マーガリンなど何十年も買っていません。
ところが!
最近、スーパーでもパッケージに
「トランス脂肪酸の低減に取り組んでいます」
という表示のあるマーガリンが増えました。
気になる〜っ!
水素添加しないでも作れるの?
でも「低減」であって「無し」ではない?
「取り組んでいます」も微妙な表現…
どういうことなの〜?
メーカーの窓口担当に電話で話を聞いた
ということで、某メーカーに問い合わせの電話をしました。
メーカー:2018年3月より、部分水素添加油脂は使っていません。
私:え?それではどのような方法で液体を固体にしているのですか?
メーカー:「分別法」という、油脂の中でも融点の高い部分だけを使う方法と、 飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸を交換する「エステル交換」という方法があります。これらを使って、トランス脂肪酸を発生させないようにしています。
私:それでも「トランス脂肪酸無し」と書いていないのはなぜですか?
メーカー:大量にトランス脂肪酸を作る、部分水素添加油脂は使っていませんが、原料となる、パーム油、なたね油、大豆油などの食用植物油脂は、脱臭処理などの際、既にトランス脂肪酸ができてしまっているので、0%にはならないのです。
私:なるほど。製法を変えたことで、トランス脂肪酸はどのくらい減りましたか?
メーカー:約10分の1に減らすことができました。
皆様がお使いの一般的なサラダ油と同等と考えていただいていいと思います。
私:他社でも同じ方法を用いてトランス脂肪酸を減らしているのでしょうか。
メーカー:はい、おそらく。
今あげた2つの方法の他に、「完全水素添加法」というのもあります。部分的に水素添加すると不安定な脂肪酸になりますが、完全に飽和させてしまうことで安定した脂肪酸にするやり方です。使われているところもあるかもしれません。弊社でも使っているかもしれませんが、技術的な部分は100%は公開していないので、お答えできませんが。
私:詳しく教えていただき、ありがとうございました。
ざっとこんな感じでした。
財団法人日本食品分析センター2010年の調査によると、食品中のトランス脂肪酸平均値は、マーガリン、ファットスプレッドで100g中7g。ショートニングで13.6g。かなり多いですね。10分の1にできたなら、100g中0.7gくらいなのでしょうか。
メーカーの方のお話の中で、「もともとの原材料の油にトランス脂肪酸が含まれるので」と言われていました。これは、原料の油は価格の安い化学精精油を使うからなのです。
化学精精油は、溶剤を加え攪拌して油を溶かし出し、その後高温にして溶剤を気化し、油だけを残す方法で作られます。長期保存のために栄養素を取り除き、さらに高温にして脱色、脱臭します。200度を超えると急速にトランス脂肪酸が生成されるので、この手の化学生成油にトランス脂肪酸が含まれるのは、あたりまえなのです。
「一般的なサラダ油と同等」とおっしゃっていましたが、一般的なサラダ油も嫌でエキストラバージンオイルなどの低温圧搾油を使用している人だと、やはり「トランス脂肪酸低減に取り組んでいる油」でも敬遠してしまいますね。
私も少し高くてもバターを控えめに使う、がいいな。
油を扱っていたことがあるだけに、つい力が入って文が長くなってしまいました。
読んでくれた人がいたら、ありがとうございます!!
What To Eat?
少しでも安いものを選んで病気になったら元も子もない。
「トランス脂肪酸やその他の脂質成分について」(雪印メグミルク)
https://www.meg-snow.com/news/files/6ec786cd217d17c01c21ba0b6ebaef4c.pdf
雪印メグミルク お客様センター
https://www.meg-snow.com/customer/faq/butter.html
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