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まさかの緊急手術➁(2023年10月20日)

【注意⚠️】この記事は手術時の描写があります。苦手な方は精読をお控えください。

外来受診中に動脈性の大出血をして即時緊急手術が決定し、手術室(血管撮影室)に運んでいただいた10月20日の午後。

その日の外来を中止し、私の手術に立ち会わざるを得なくなった形成外科のA先生が、手術台の横で私に言いました。

「ここまで来たので僕もひと安心です。あとはB先生に(血管内治療)やってもらうだけですからねー」

A先生にとっても、外来であれほどの大出血になったのは初めてだったそうです。
放射線科のB先生も「さっきは凄い状況だった💦」と笑っていました。
B先生は、こんなに難儀な患者の血管内治療だというのに、一貫して明るく前向きで冷静です。
ここで先生たちが深刻な面持ちだったら、私はその影響を受けて恐怖に支配されていたかもしれません。

いよいよ手術開始。
B先生が私の右腕からカテーテルを挿入し、右手に針を刺します。
血管を撮影しながらモニタを見て「これはA(動脈)かな?V(静脈)かな?」「あーわかんねーなー」とブツブツ言いながら、他の放射線科の先生と議論しています。
血管の画像を観ながら率直な議論をしつつ、あらゆる角度から仮説検証をしているのです。
決してブツブツ文句を言ってるのではなく、「わからないなぁ」「難しいなぁ」といった感情を抑え込まずに出すことで解決の糸口が見えてくるもんなんだよ、とB先生が教えてくれました。

B先生はさらに私の右手にブスブスと針を刺していきます。私が痛がっても「ごめんねーオレ容赦ゼロだから」と坦々と刺し続けます。こういう時は患者の痛みに共感しすぎちゃうと治療ができないので、治療する側としてはある程度共感を捨てる必要があるんだということも、ボソッと教えてくれました。
とは言え、私があまりに痛がるとA先生がすぐに追加で麻酔を打ちます。
右手に刺しまくった針をB先生が抜くと、A先生がガーゼを当てて止血します。
手術室の看護師さんたちも「大丈夫ですかー?痛みが強かったら遠慮しないで言ってくださいねー」と都度声をかけてくれます。

そして、B先生はモニタで血管の画像を観ながら塞栓箇所を徐々に絞り込み、カテーテルから私の右手親指の血管に詰め物(コイルと医療用接着剤)をスイスイ入れていきました。

「このコイル、プラチナ製で超高いんだよ」

とプチ情報を私に吹き込みながら、実に冷静に、手際良く。

10月に手術をすることが決まってから、局所麻酔下での手術に恐れおののいていた私でしたが、モニタで自分の血管に塞栓物質が入っていく様子や、先生たちの議論とチームプレイ、B先生の手技をずっと見続けているうちに、恐怖心など吹っ飛んで「先生たちすごいなぁ」「看護師さんもすごいなぁ」とひたすら感動していました。

また、外来診察室でのA先生の処置(出血点の縫合)が奏功し、緊急手術の大きな目的だった「止血」は思いのほかスムーズに到達したようで、

「あとは当初予定していた25日に再手術して、またその時にやれることをやりましょう🎵」

というB先生の判断で、約3時間の緊急手術が終わったのでした。

手術台からベッドに移乗され、手術室を出て病棟に運んでいただく道中、

「あー、アタシ生きてる」

と実感し、ホロっと涙が出ました。
数時間前まで命の危険が迫ってたけど、今はこうしてベッドに横たわるだけで何もできないけど、アタシ生きてるんだなぁ…
そんなことをヒシヒシ感じながら、ICUに運ばれたのでした。

<次回へつづく🎵>

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