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「動静脈奇形」ってどんな病気?

「動静脈奇形」は血管腫・血管奇形の一種で、2015年に厚生労働省で指定された難病です。
私は右上肢(右手右腕)の動静脈奇形の患者ですが、顔に発症する人もいれば、足に発症する人もいます。
四肢、頚部、顔、脳、臓器など、全身のどの部位にも発生しうる先天性の難病なのです。

難病情報センターさんのサイトでは以下のように説明されています。

動静脈奇形は、胎児期に血管が作られる過程で、動脈と静脈の間に異常なつながりができてしまう病気です。動脈や静脈が絡み合う部分は「ナイダス」と呼ばれ、動脈を流れる血液が静脈側にすり抜ける短絡(シャント)という現象が起こります。全身のあらゆる部位に発生しますが、なかでも高流速のシャントが広範囲に及ぶ巨大動静脈奇形(頚部顔面・四肢)は、様々な症状や機能障害により生活に与える影響が重大です。また、心不全や致死的出血など生命の危険に晒されることもあります。

難病情報センターホームページより一部抜粋

おそらく、この病気の患者さんは生命の危険と隣り合わせでありながらも、医師の指導や治療を受けたり自分なりにいろいろ工夫したりしながら、日々を生きています。

なお、この病気の進行度合いは「ショービンガー(Schöbinger)分類」というもので定義づけされ、4つのステージで分類されています。

ステージⅠ(静止期)  :発赤、熱感(皮膚温上昇)
ステージⅡ(拡張期) :拍動性膨張・膨隆
ステージⅢ(破壊期) :疼痛・潰瘍・出血・感染
ステージⅣ(代償不全期)  :高拍出性心不全

私はこれまでの半生でステージⅢまでを経験しています。2023年もまさにステージⅢの症状と闘う日々でした。
ステージⅢまで進行すると、潰瘍や感染による痛みに加えて、潰瘍からの動脈性出血を引き起こすこともあります。動脈性出血とはつまり、最高潮の噴水のような激しい勢いの出血なので、放っておいたら生命の危機に陥ります。したがって、早急に止血のための応急処置が必要になります。
どのステージにおいても根治は困難で、今のところ治療法が確立されておらず、発症したら対症療法をするしかないようです。

また、この病気の患者さんは、患部の見た目の悩みを少なからず抱えています。
私の場合、患部である右手右腕がパンパンに膨張しています。男性用の手袋も入らないほどです。加えて親指と母指丘もボコボコに腫れ、赤紫色を帯びています。自分で言うのもなんですが、病名のとおり「奇形」です。
健常な人の手と比べれば明らかに異様で、見る人によっては薄気味悪いと感じるでしょう。

私は自分の病気を隠すつもりはないですし、もし患部を見せて欲しいと言われればお見せしようとも思っています。でも、もしかしたら患部を見た相手は複雑な気持ちになるかなと思うと、つい遠慮の念がはたらいてしまいます。
なので私は、異様な見た目を覆うのと出血や感染を未然防止するために、20歳の頃から右手に包帯を巻いて日常を過ごしています。

気持ちの面では隠しようのない病気だけど、見た目の面ではつい隠してしまう、あるいは隠さざるを得ない状況になってしまう。
こんな矛盾と共生している患者さんも多々おられるのではないかと思います。

もし「あなたが望むものを何でも授けてあげましょう」と神様から言われたら、私は迷わず「左手と同質の右手を授けてください」と言うでしょう。
もちろんそれが叶わないことはよくわかっています。
だからこそ、私はこの病気は「自分を象徴する一部」と受け止めながら今まで生きてきたつもりです。

そんなきっかけをもらったのは、1980年頃のことです。

〈次回へつづく🎵〉

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