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得意を伸ばす?不得意を減らす?

今も昔もそう変わらないと思うのですが、若い頃によく言われたのは、自分の得意や強みを見つけて、そこを伸ばすこと…という言葉です。

この言葉があてはまるキャリアプランやキャリアアップというのも確かにあるのですが、30年も働いているとこれって結構微妙だよね‥と思うことも多いのです。

学生時代に通っていた専門学校に英文タイプの授業があったおかげで、今でもタッチタイピングは得意ですし、学生時代はキーパンチャーのバイトで時給2000円ぐらいもらっていたこともありました。
恐らく今は音声入力も日々進化していますし、沢山の人がスマホなりPCなりで色んなデータを入力するようになっていますから、データ入力の仕事はあっても、そんな時給は出ないのではないかと思います。

コーチングの副業でだいぶ稼いでいた時期もありました。
私がコーチングを始めた2000年前半はコーチ業をやる人は少なく、コーチ自身がWebサイトを開設している人はもっと少なく、Webサイトがあるだけで問い合わせがきて、お試しでセッションをしたら、ほぼ確実に契約となりました。
コーチングはそもそも設備投資もほとんどいらず参入障壁が非常に低い仕事ですし、今のように副業流行りになり、個人でもブログの開設が簡単になり、リスティング広告とSNS広告を出すのが容易になると、それはもうレッドオーシャンです。今度は儲からないコーチをターゲットしたビジネスも出てくるわけです。

ビジネスの世界にはこういう市場の変化があるので、いくらタッチタイピングや傾聴のスキルを磨いても、価格の下落に対抗できません。
数年前から話題のAIに仕事を奪われる仕事なんていうのもこれと同じような話で、自分の得意を伸ばすことが市場の変化にあったものなら良いのですが、市場の変化を読み間違えれば、キャリアそのものを失うことになりかねません。

そんなわけで「得意」を伸ばす。「強み」をより強化するって微妙なことも多いよね‥と思うようになりました。

逆に40代で一つ気づいたのは、自分の「苦手なもの」、「弱み」を、「人並」までアップデートすると毎日が楽しくなるということです。

私が最初にやったのは、「料理」。
共働き家庭で、ずっと料理は夫に任せきり。
料理というのは計画性が必要だし、面倒だし、それ以上に苦手意識も強く。
さらに当時の夫は定時に退社でき出張もほとんどないという仕事だったこともあり、夫自身も結婚するまで料理を全くしない人でしたが、あまりに私が嫌がるのでやってくれるようになりました。何より子供が私が作った料理よりも、父親の料理を好むので気を良くしてすっかり料理上手になりました。
そして、サラリーマンとして勤めていた会社が消滅した後は、調理関係の仕事をするようになりました。

…が、そんな夫と紆余曲折の末、添い遂げることもできず、自身で料理をし始めることになり、年齢とともにまともなモノを食べないと、カラダの不調がすぐに出ることに。
渋々と自分のために料理をし始めました。
信頼できるレシピサイトを教えてもらい、その手順通りにやっていたらなんとなく作れるようになってきて、料理上手にはなりませんが、困らない程度に料理もできるようになりました。

料理ができないくせに外食と市販のお惣菜があまりスキではない私(但し、インスタント食品は好き)、料理がそこそこできるようになって、生きていくのがとても楽になりました。作れれば好きなものばかり食べられますしね。地方出張の際もAirbnbで自分で御飯作って食べたりするようになり、驚きの変化です。

料理以外にも、運動や裁縫などすごく苦手なものに取り組んで少しずつコンプレックスを減らすというのがこれが結構楽しくなってきて、得意を伸ばすのもいいけれど、極端な不得意を減らすのも良いんじゃないかな‥と思うようになった次第です。

こういう考え方の変化から、極端に苦手だった美術にも手を出してしまったというのも美大に入ってしまった一因です。

PowerPointなんかは若い頃からずっと仕事で触っていますから、操作は問題ありませんでしたが、なんだか垢抜けませんでした。
美大に入ってフォントの選び方、オブジェクトの整頓の考え方、画像の使い方、配色など細かいことをあれこれ知り、随分と垢抜けました。

それで食べられるほどの「強み」ではありませんが、昨日の自分よりちょっとマシになる‥というのが楽しいなぁと思う今日このごろです。