見出し画像

講演手記 ◆仕事における変化への対応◆

先日、上場企業の次期役員候補育成プログラムの一環として、私の仕事における変化への対応と過去のジレンマについて講演して欲しいというご依頼を受け、1時間お話をさせて頂く機会がありました。

主にお話した仕事の変化は以下の3つ。
1.いきなり子会社社長
2.独立・起業
3.自社売却・香港へ

それぞれのさわりの部分のみかいつまんで記述してみたいと思います。

1.いきなり子会社社長

これは、当時勤めていたベンチャー企業での出来事です。
急成長期という事もあり、がむしゃらに働く日々がありました。周囲の同僚たち(男性)はどんどん昇進して行く中、私は同じ程度の成果を出しても一向に昇進させて貰えない日々が続いておりました。
何故昇進機会が無いのか、それは私が女性だからなのか、と直接社長に直談判する事もしばしばありました。社長は決まって笑顔で、「そんなことはないよ。皆平等だよ。」と答えるのでした。

法改正の絡みで、私が居た部署が子会社として独立することになり、昇進機会はあまり変わり映えせずに過ごす日々でした。また、会社としての大きな変化は、株式市場に上場したというイベントが起きておりました。それがある日突然、本社に呼び出され、取締役会が終了したばかりと思われる会議室に入ると、部屋から出て行く役員たちから、「頑張れよ!」と声を掛けられたのです。一体何の話かと思いきや、私が所属する部門の役員2名を前にし、「次期子会社社長に任命したい。」との打診を受けたのでした。

何の前触れもなかった為、非常に驚き、一瞬言葉を失った事を今でも鮮明に覚えています。

2.独立・起業

子会社社長を3年経験し、独立・起業致しました。
考えた期間は2年間。勤めていた会社が上場を果たしたおかげで、起業資金は完全自己資金のみで賄う事が出来ました。
起業しようと決めたものの、何をしようかが決まらず、当時の顧客企業の社長の皆さんに色々相談させて頂いていたところ、発注は今すぐするから、同じ事業をやったら良いではないか。というお声を多く頂き、需要に応える形で事業を開始しました。
競合にあたる会社設立となる為に、当時勤めていた親会社の創業社長にお伺いを立てたところ、気持ち良く送り出して下さいました。

3.自社売却・香港へ

5年運営した後、悩んだ末に自社を売却致しました。
友人の助けもあり、売却を決めてから1か月以内に買い手が現れ、調印まで行う事が出来ました。この時の反省点は今思えば山ほどあります。

思ったよりも早くに会社売却が完了した為、もともと市場調査で長期滞在を予定していた香港にそのまま住んでしまおうと決断し、スーツケース1つで渡航したまま戻らない事にしたのでした。
一人も知り合いの居ない国に無計画でいきなり住むという、破天荒な事をやりましたが、これもまた後の人生に大きな変化をもたらす事となったのです。

エリートでなくても実現出来る事

どうやって、上場企業の社外役員までの道のりを歩んだのかと質問されることが多いので、何をしたかをお伝えしてみようと思います。

私は学生の頃は、自分の興味のある教科、将来実用的な教科しか勉強しないというスタイルで、非常に平凡な成績の、しかも教科によってムラがあるという、決して褒められた状態ではない学生でした。
就職氷河期の世代で、どこでも良いから就職するといった風潮の中、取り敢えず入った会社を1年で辞め、留学でもするかなと2か月ほどフラフラした後、たまたまアルバイトに応募したベンチャー企業から熱烈なオファーを頂いて入社したという経歴です。
そこから今に至るまで、私の経歴を見た方は、立派な経歴ですねと褒めて下さることもあるのですが、何かになりたかった訳ではなく、全部成り行き、何となく、で出来上がったキャリアなのです。

その何となく出来上がった経歴の中で、キーポイントになる事項を挙げてみました。
1.全力で取り組む、諦めない
2.足りない知識は学び、補い、相談する
3.まずはやってみること、行動し続けること

上記について、詳細を述べるまでもなく、非常にシンプルな事だと思います。

参加者からの質問で、「毎日の生活が忙しくて学ぶ時間を見つけることが出来ないが、どうしたら継続して学べるか」という問いがありました。

私の答えは、「皆24時間は平等であり、小さなお子さんが居るなどの生活スタイルによっては自分の時間が少ないこともあるとは思います。しかしながら、毎日テレビを見る時間は存在していないか、寝る間も惜しむ程本当に忙しいのか、30分や1時間の隙間時間も全く無いのかと考えてみると、意外と無駄に過ごしている時間もあると思います。まずは隙間時間を見つけて、その時間を確定させること。そして、その時間を使って学ぶことを習慣化させること。例えば、寝る前に30分勉強をしなければ歯磨きをしない。などと自分にルールを課すと、歯磨きをすることは当たり前の事なので、自然と勉強時間を30分以上取る事ができると思いますよ。」といった内容でした。

講演の最後に更に参加者の皆さんにお伝えしたのが、ハーバードのトニー・ワグナー教授の言葉。パッション、パーパス、プレイ。
情熱を持って、何故それをやるのか目的を考え、楽しみましょう。
失敗は怖いものではなく、チャレンジの結果のうちの1つです。
という話でこの講演を終えました。

そして後日、とてもモチベーションが上がったと参加者から評判が良かったとフィードバックを頂きました。
更に、トップの方から、「あなたが居てくれるから、女性のキャリアパスを示す事が出来ます。これからもサポートをお願いします!」と嬉しいお声がけを頂きました。

今回の講演はジェンダーギャップがテーマでは無かったものの、私の歩みが後の世代の誰かの役に立つなら幸いです。

↓参考までに女性のキャリアに関する統計。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?