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1+1=の答え〜息子が教えてくれた意味

私は今、15年前のある出来事を思い出している。

当時私は、自宅から車で片道2時間の距離にあるバレエ教室まで娘を送迎していた。

1時間半のレッスンが終わるまで、私と小5の息子は、近くの大型スーパーで時間を潰すのが常だった。


ある日のこと。

私と息子は、レッスンを終えた娘をバレエ教室に迎えに行くために、時間を潰していたスーパーの駐車場へ向かった。

息子は、スーパーの出口付近にあるトイレに寄ってから車に乗るのがいつものパターン。

今日もトイレに寄っていくのかな?などと考えながら、私の後ろを付いてきているはずの息子を振り返った。

すると、息子は私のすぐ後を歩いてくるのではなく、ぐるっと遠回りしてこちらに向かってきた。
その顔は明らかに怒っている。

「お母さん!テレビの前通ったらテレビ見ている人が嫌な気持ちになるでしょ!」

どうやら私は、息子のトイレのことを考えながら歩いているうちに、テレビの前を堂々と通っていたらしい。

後ろを振り返ると、たしかにテレビ前のベンチには1人座っているのが見える。

私は、自分の失態をごまかすために、
「アンタは、よく気がついてエライね!」
と、息子をほめた。

すると息子は
「そういうことじゃなくて」
続けて
「1足す1は?」
と、私に聞いてきた。

一体、息子は何を言っているのだ?
私は怪訝に思いながらも、
「2だよ」と答えた。

そして、息子はまっすぐ前を見たまま
「…そういうこと」
と、言った。

私は、頭の中が『?』マークでいっぱいになった。
どういうこと?
おもむろに息子の顔を見ると、
相変わらずまっすぐ前を見据えたまま、
「当たり前のことだっていうこと」
と続けた。

それを聞いた私は、母親である自分を恥じた

#創作大賞2023 #エッセイ部門

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