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第10回スポーツセーフティーシンポジウムに参加しました

先週、四ツ谷で開催された「第10回スポーツセーフティーシンポジウム」に参加してきました。

写真これしか撮らなかった…

ここ数年はオンラインのみの開催で、オフライン開催は実に4年ぶりだそうです。最後に都内のどこかで開催があったときは行けなかったので、まさか私はこうやって参加させてもらうのは5年ぶり…!?

その間に自分の仕事のスタイルは大きく変わったし、そりゃー年も取るわけね…となんだかしみじみ思いました。

今回のシンポジウムのテーマは「EAPハドル 〜スポーツ現場におけるEAPの再考〜」ということで、スポーツセーフティージャパン代表の佐保さんを含めた4名の講師の方がご登壇されました。

EAPというのは、Emergency Action Plan(緊急時対応計画)のことです。

個人的には、私は今現在スポーツイベントや何らかの施設で安全管理を担当するような役割を担うことはほぼないので「明日からの仕事に今すぐ直結する」という感じではないのですが、それでもこうやって機会があるたびにちゃんと勉強しておくと、「ここぞ」というときに脳の引き出しからちゃんと出てきてくれるので、アスレティックトレーナー/看護師の教養として興味深く学ばせていただいています。

(ネタから一人で考えているスポーツ医学検定のSNSではトピックとして扱うことがあるので、実はデザイナー/クリエイターとしての「明日からの仕事」には活きてるかも。)

学びと感想

安全への意識が特別高い日々を送っているわけでもないという程度のモチベーションの私で大変恐縮なのですが、皆さんのお話はそれぞれとても面白く、メモをとりながらとても興味深く参加させていただきました。

佐保さんのお話では、WBCの安全管理の規模感、要求の厳しさ、責任の重さの体験談がとてもリアルでした。スポーツビジネスって感じですね。
そうやって大会運営に必要なためにかき集めた物品やゴルフカートは、大会後どうなるのでしょうか。

↑いきなり余談ですが、これ、そういえば東京オリンピックのときも同じことを思っていました。
私はお台場のビーチバレーの会場で選手用医務室の看護師として参加したのですが、広い会場を移動するために、TOKYO2020のロゴが入った、担架が載せられるカートや1人乗りのモビリティがたくさんあって日々多くの人に活用されていました。

▲こういうやつ

これとか、まぁオリンピックのロゴは剥がすとして、その後球場やグラウンドに寄付したらめちゃくちゃ使えそうですよね。こういう用途が特化したものが最初の目的を果たした後にどう活用されていくのか、なんだかとても気になっちゃいます。もし今小学生だったら夏休みの自由研究にしたいくらい。

話がちょっと逸れましたね。

さらに、緊急時には「とにかく人員の確保が課題になる」というお話も印象的でした。たとえば今私が勤務しているクリニックでは、手術日でなければ診察室には院長と看護師1人だけ。2階にPTさんが1人か2人、そして医事課の方が2〜3人という感じで、そもそもスタッフの絶対数が少ない職場です。

たまに行くラグビーの会場救護のバイトも、基本はドクター1人と看護師1人です。もし人手が必要なことがあれば、チームの運営の方や、何ならその場に居合わせた他の観客の方々の手を借りる必要だってあるかもしれません。

そういう感じで、メディカル担当ではないけど関係者である、もしくはその場に居合わせてくれる人たちをいかに巻き込むかが重要というのは、おそらくどんなコミュニティでも似たような状況なのでしょう。

AEDの基本的な使い方を知っておこう、健康とコンディションを維持するための基礎的な知識をつけよう、などということを一般の(医療従事者でない)人たちに広めたい、わかりやすく伝えるお手伝いがしたい、という気持ちで私はデザインの勉強を始めたこともあり、そういう「コミュニケーション」に関する部分はとても考えさせられます。

続く村田先生のお話では、データや統計などの学術情報をたくさん紹介してくださいました。

国内外のたくさんの事例や症例をわかりやすく解説してくださいました。
印象的だったデータの1つが、日本の学校のAEDの設置率は99.9%だということ。初めて知りました。ほぼ100%やん。日本って、学校に限らず街中でもAEDの設置率が世界の中でもとても高い国なのです。でも、「AEDはあるのにもかかわらず適切に活用されていない現状がある」という課題はよく目にします。

午後のセッションの、救急救命士の曽根先生のお話はとても引き込まれました。お話がとっっても上手で、眠くなりやすい時間帯にも関わらず、近くに座っている人とディスカッションしたりしてあっというまの60分でした。すごい。プロの講演家さんのようでした(おそらく実際、さまざまなところでたくさんご講演されているのだと思います)。

特に救急対応した人の心のケアについてのお話が印象的でした。
私は今はあまりそういった緊迫した場面に出くわす機会もほぼありませんが、新卒2年目のときに初めて夜勤帯に自分の担当患者さんが急変して亡くなったときのことを久しぶりに思い出しました。

ある意味あんなに整った状況でも、今も忘れられないくらいストレスフルだった出来事なのに、もしさっきまで普通だった人が突然目の前で倒れて、なんだかわからないまま急に対応しないといけない状況になって心肺蘇生やAEDをしたり、それで無事に助かることもあれば必ずしもそうじゃないなんてことを考えれば、結果どうこうの前にまず「緊急時の対応にあたること」自体がとてつもないストレスになるのは当たり前ですよね。だけど今まであまりそういう観点で「緊急時対応」のことを考えたことがなかったので、とても新鮮に感じました。

特に救命士さんにとっては、それが日常の一部であるわけで、仕事としては慣れるかもしれないけど、だからってストレスを感じないわけではないんですよね。

「終わったあとに『あれはもっとこうしたほうが良かったよね』とダメ出しをするのではなくて、どうか、まずは『よく頑張ったね。大変だったね。お疲れさま。』という労いの言葉をかけてあげてください」という曽根先生の言葉に、なんだかじーんとしてしまいました。

それは緊急時対応の場面だけに限らず、日々の仕事や日常の場面でも「それは当たり前でしょ」「大変だったけど、まぁもう慣れてますよね」って感じで片付けてしまっていることがたくさんあるなと思ったからです。
まずは、「一生懸命頑張ったことに対して、労いの言葉をかけること」をいつでも忘れないようにしたいと思いました。「心配り」がキーワードですね。

最後の金澤先生のお話も、実体験モリモリでとても面白かったです。やっぱりその人が体験したこと、実際に行っていること、だからこそ思うこと、言えること、そういう「一次体験」の話って本当に面白いですよね。お人柄も素敵でした。いらっしゃったかはわかりませんが、懇親会に行けたらぜひお話してみたかった…!

20年かけて少しずつ構築されてこられた、養護教諭以外の教員も生徒もみんなを巻き込んで自発的に行動できる「岩倉スタイル」、圧巻でした。私も保健委員に立候補したい笑。こんな高校が上野にあったんですね。

実は学校での仕事に興味を持ったことは今まで何度もあって、たまに調べたりしたこともありましたが、なかなか募集に出会う機会もなく、特にこれまでご縁はありませんでした。いつか私もせっかく取った保健師免許を活用して(活用できるのか?)学校現場でお仕事してみたいなと、またふんわりと憧れを抱くほどに興味深いお話でした。

若いATさんたちにエールを

長々と書いてしまいましたが、5年ぶりに現地参加できて本当によかったなと思います。大満足。直接会うのはとってもお久しぶりの方にも何人もお会いできて、近況など少しお話できたりしてとても嬉しかったです。

20代前半のお若いATさんとも少しお話しできました。たぶん貴重な大学生活のほとんどがコロナ禍で、これまでの先輩たちのような現場の活動もあまりできず、何事もオンラインばかりで「現地参加」の機会が本当に少なく、大変な思いをされながら勉強を頑張ってこられたんだろうなと思います。それでも今こうやってシンポジウムやセミナーなどの集まりに参加されて、えらい!自分なりに目標を持って活動をされていて、めちゃくちゃえらい!!と心から思っています(実際、お話うかがって「えらい!」しか言ってないかもw)。

もうやっぱり20代前半の方とはもはやジェネレーションが全然違うので、若い方のお話を聞けるのは純粋に楽しいです。アスレティックトレーナーって、自分はどの方向性でやっていくのか、進む道を一人ひとりが常にしっかり考えていないと進路に迷いやすい面があるから悩みますよね。もう本当に頑張ってる若い方をみんな応援したくなっちゃいますね。

で、最近の私はまじで何やってんの?って感じですが笑、日々こういった素晴らしい活動やお仕事をされている皆さんと併走し、広報活動のお手伝いをできるグラフィックデザイナーをやろう!ってことで、少しずつさまざまな制作のお仕事をお受けして、1つひとつ丁寧にすすめているところです。

以前より交流がある方にも、今年作ったばかりのお気に入りの個人事業の名刺をお渡ししまくってます笑。いらんかもしれませんが、もらっていただけると嬉しいです。
今度はステッカー配りたい…!いらんかもしれませんが笑。頑張って「欲しい!」って思われるようなの作ろ。

というわけで、久しぶりのオフラインのシンポジウムはとても充実していました〜というレポートでした。

またいろんな人と直接会ってお話しできる機会があれば、なるべく足を運びたいなと思います。思いを持っている人の話を聞くの大好き。


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