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ひとりでできるもん! 発信者情報開示命令申立&仮処分命令申立【コンテンツプロバイダ編(X(旧Twitter)にも対応)】

※ X(Twitter)の社内が混乱しているためか、裁判所が開示決定してもX(Twitter)がなかなか情報開示してくれない状況に陥っています。
 「裁判所の開示決定にも関わらず、Twitterがなかなか情報開示しない場合の対処法(Twitter相手の情報開示の最短手順)」に理由を記載しておりますが、X(Twitter)相手にはまず「仮処分命令申立」、余裕があればあわせて「発信者情報開示命令申立」を行うのが望ましい状況です。

 「仮処分命令申立」と「発信者情報開示命令申立」は申立後の流れはほぼ同じものですが、何が違うか等も踏まえた上で記事を執筆しております。


2022年10月以降、発信者情報開示命令申立(発信者情報開示請求)は従来と比べて格段にやりやすくなっています。理由は大きく二つ。


1.Twitter等の海外コンテンツプロバイダが国内登記を完了したため、登記簿謄本の入手が容易になりかつ英訳書面を添付する必要がなくなった

 書類には相手方の登記簿謄本を添付する必要がありますが、X(Twitter)などコンテンツプロバイダの多くは海外の会社であり、従来は登記簿謄本にあたる「資格証明書」を海外から入手する必要がありました。それに目を付けた取得代行業者が、1通5万円という高額な価格設定で暴利を貪ったりしていたのです。
 現在は法務省の要請により多くの海外コンテンツプロバイダが国内登記を完了しており、法務局にて登記簿謄本を1通600円で入手できるようになりました。
 また、海外コンテンツプロバイダを相手方とする場合、「英訳した書面」を別途準備する必要がありましたが、国内登記されている場合はそれも不要となりました。

2.非訟手続きとなり、手続きが迅速化した

 従来は通常の訴訟手続きで下手すると開示まで半年~1年間かかるような長丁場のものでしたが、現在は非訟手続き(訴訟ではなくなった)となったため1~3か月で開示の可否について判断されるようになりました。

簡単になってるっぽいから、弁護士をつけずに、ひとりで発信者情報開示命令申立をやってみようか

 従来だと書類の準備だけでも素人には困難であり、弁護士に発信者情報開示請求を依頼するとかかる費用は数十万円…誹謗中傷等を行った発信者から和解金や慰謝料を回収できたとしても赤字になるケースが多く、結局被害者は泣き寝入りせざるを得ないのが一般的でした。
 現在は弁護士を雇わなくても個人で十分に対応できそうだと考えた私は、Twitterを相手取ってえいやっと発信者情報開示命令申立をしてみました。

雛形は神田弁護士の様式を使えば基本問題なし

 ここの書式「発信者情報開示命令申立事件」の雛形を参考に、申立書を作成すればOKです。
 ただし、X(Twitter)については「仮処分申立書」の「書式7-Twitter」で仮処分命令申立を行うのが望ましいです。
 理由は「裁判所の開示決定にも関わらず、Twitterがなかなか情報開示しない場合の対処法(Twitter相手の情報開示の最短手順)」をご参照ください。
 また、あわせて発信者情報開示命令申立を行っておいた方が無難です。

 …というわけで、以下有料部分には、実際に開示命令申立をしていく中で知った流れや費用、知らなくて二度手間になったことや開示を勝ち取るためのポイントを含めて、詳細をご紹介します。
 なお、当方は法律職ではないため、内容については保証できかねる点だけご了承ください。

いちお、目次だけご紹介。刺さるものがあればご購読ください。
・具体的な流れはどうなるの?
・結局費用はいくらかかるのよ?
・発信者情報開示命令申立と仮処分命令申立って何が違うの?
・提供命令申立って実際どうなの?
・ペンネームやハンドルネームへの誹謗中傷でも開示できる?
・名誉権侵害と名誉感情侵害の違いについてもうちょっと詳しく教えてよ?
・誹謗中傷にあたるアウトワードって何?
・ダイレクトメッセージで誹謗中傷されたけど開示できる?
・かなり前の誹謗中傷だけど開示できる?

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