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誰も教えてくれない簿記の本質についてのお話②簿記って結局何やってんの?

簿記の目的はいつ?といくら?を明らかにすることです。
このnoteでは簿記の本質について、日商簿記検定1級まで取った中の人が書いています。このnoteは①の続きになります。まだの方は①から読んでください。

今回はいつ?いくら?のうち、いくら?についてのお話です。

いくらで計上するの?

では、次にいくらで計上するの?というお話をしていきましょう。

売上であれば問題は簡単です。売上げた金額で計上すればいいのです。値引きなどの論点はありますが、お金が実際に動く取引なのでわかりやすいでしょう。

問題になるのは車や不動産を買ったときです。

問題:この土地はいくらでしょう?

たとえば次のような不動産を買ったとします。
土地を買うために、売主に対して、1億円支払いました。
その他土地を買うためにその他の費用として、(1)~(3)を支出しました。
(1)不動産屋への仲介手数料300万円
(2)登録免許税200万円
(3)印紙代6万円
合計金額は1億506万円です。

さて、土地の価額はいくらで計上したらいいでしょうか?
1億円でしょうか?
1億506万円でしょうか?

実は、答えはそのどちらでもありません。
→答えは1億300万円になります。

土地を取得するために要した費用は土地の取得原価に含めなければいけない

というルールがあります。
取得原価というのは、買う為に要した費用のことであり、この数字が貸借対照表の土地の項目に計上されます。

取得原価に含めなければいけないものはルールとして決められているので、土地の金額に含めなければなりません。

<もしも取得原価を経費にしちゃうとどうなるのか?>
取得原価に含めなければいけないものを経費として処理するとどうなるのでしょうか?もし税務調査の時に指摘されると、経費として処理していたものは全額経費として認められないことになるので、その分税金がかかることになります。さらに、過少申告加算税や延滞税などのペナルティも同時にかかってしまいます。
もし税務調査がなければ指摘する人は誰もいません。ただ、土地の売買などは所有権の登記がされるので、誰が持っているのか明らかです。税務署側も調べるのが簡単です。そのため全然違う値段で土地を計上していた際に、税務調査が来ない、指摘されないという可能性は限りなく低いでしょう。
なので土地の金額は正しく貸借対照表にのっけておく必要があるのです。


取得原価に含めないものは、費用として損益計算書に計上されます。

問題となるのは、取得原価に含めなくてはいけないものと、取得原価に含めなくてもいいものが混ざっている時です。

取得原価に含めるものと含めなくていいもの

<土地の取得原価に含めるものと含めないもの>のポイント
①不動産屋に支払った仲介手数料は、土地を買うために必要な費用なので取得原価に含めなければいけません。

②登録免許税は、土地を取得するためにかかった費用という種類の支出ですが、税金は必要経費として費用にすることができます。

③印紙代は印紙税という土地の代金をやり取りするときにかかる税金です。土地の売買契約書を作成するための費用なので、必要経費として費用にすることができます。

①から③までのポイントを整理して、答えを出していきましょう。

<土地はいくら?>
土地の購入代金→土地の取得原価に含める
①300万円→土地の取得原価に含める
②200万円→取得原価に含めない、費用として処理する
③6万円→取得原価に含めない、費用として処理する
よって土地として貸借対照表に計上される金額は
1億300万円になります。

土地の取得原価は貸借対照表へ
取得原価に含めない費用は損益計算書に計上されることになります。

いつまでも費用にできないと、その分税金が高くなる

土地の場合減価償却はできないので、土地を売却するまで費用にならないことになります。そして土地を売るのは何年先になるのかわかりません。
もしかしたら一生売らないかもしれません。

取得原価に含めなくていいものまで含めてしまうと、土地を売却する時まで、費用にしたくても費用化できなくなってしまいます。
本来の利益より利益が増え、税金が高くなってしまいます。

問題文にいくつもの数字が並ぶから難易度があがる

いくら?という論点は、日商簿記2級から1級の論点です。

日商簿記3級であれば、出てくる数字は大体1つです。
いくら?というのを聞かれる問題は、問題文にいくつもの数字が並んでいるので、ルールを正確に把握していないと、どの数値を使っていいのかわからなくなってしまいます。
そのため問題を解く際の難易度はあがります。

日商簿記2級〜1級で出題されるのはこのいくら?というのを聞かれる問題が多いです。
数字が全部載っていればいいのですが、自分で計算させる問題も出題されます。

いま聞かれてるのはいつ?いくら?
どっちだろう?

そういう分類ができるようになると勉強を進めやすくなるでしょう。
ぜひ簿記の勉強を進める際の参考にしてください。

😊