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てのひらに乗せたマッチ箱

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掌編小説「水と油」

掌編小説「水と油」

「モモ、あそこ見て、もしかしてウグイスじゃないかな」
百枝は10歳年下の修二の声を耳元で聴きながら、このいい声がこの男の最高の魅力だと女達が認めていることを理解した。
「あれはメジロだと思うよ」と、百枝はそっけなく訂正してみせた。
修二はおだやかに、
「実は嘘をつきました。ごめんなさい」と言って笑った。
「謝る気なんてないくせに」と百枝も笑った。
二人はバードウオッチングの趣味が元で公園で出逢った

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