私の好きな詩② 汲む-Y・Yに-
みなさん、こんにちは!
ゆっかです。
連続投稿46日目です。
前回に引き続き、私の好きな詩について。
まずは詩をお読みください。
【汲む―Y・Yに― 茨木のり子】
大人になるというのは
すれっからしになることだと
思い込んでいた少女の頃
立居振舞の美しい
発音の正確な
素敵な女のひとと会いました
そのひとは私の背のびをみすかしたように
なにげない話に言いました
初々しさが大切なの
人に対しても世の中に対しても
人を人とも思わなくなったとき
堕落が始まるのね 堕ちていくのを
隠そうとしても 隠せなかった人を何人も見ました
私はどきんとし
そして深く悟りました
大人になってもどきまぎしたっていいんだな
ぎこちない挨拶 醜く赤くなる
失語症 なめらかでないしぐさ
子供の悪態にさえ傷ついてしまう
頼りない生牡蠣のような感受性
それらを鍛える必要は少しもなかったのだな
年老いても咲きたての薔薇 柔らかく
外にむかってひらあれるのこそ難しい
あらゆる仕事
すべてのいい仕事の核には
震える弱いアンテナが隠されている きっと……
わたしもかつてのあの人と同じくらいの年になりました
たちかえり
今もときどきその意味を
ひっそり汲むことがあるのです
この詩との出合い
この詩は、中学生の頃、国語の先生が異動のときのお別れの言葉でいっていた詩です。
私もこんな素敵な大人になりたいなと思ったのを覚えています。
自分の弱さを受容し、自分の感性を守り、自分に誠実に生きている。
結局、私の人生の宿題はそういうところにあるんだな、と改めて感じます。
以上、本日もお読みいただきありがとうございました。
今日も最幸の一日にしましょう!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?