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詩 #44

雨の日の傘の下には、
私が二人いるのです。

私が歩けば私も歩き、
水溜まりの波は重なり合うのです。

それは傘がパラボラをして、
私が私に遅れるだけなのだけど、
なんとなしに私は私を見つけるのです。

ぽたぽたと音がして、
地面に触れるその音がまた、
私の世界を震わせるのです。

私は私の音を聴き、
その無闇さに驚くのです。

私はどこへと歩くのか、
傘の下で考えるのです。

今そこで生きている私と、
傘の下で見つめる私。

そう、
それだから。

雨の日の傘の下には、
私が二人いるのです。


2022.6.14 傘
雪屋双喜


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