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読書記録 たったそれだけ

読書記録 たったそれだけ


宮下奈都さん 双葉社 2014年




◎はじめに
私は最近は作家さんで読む本を選んでいます。
まずは小説、そして女性作家。

たまに、重松清さんとか、五木寛之さんとか、小説じゃないけど、養老孟司先生とか、読んでいる。

何故だろう、

女性が活躍できる社会というけれど、
私は育ちが昭和だし田舎の学校だったから、

やっぱり、女性の仕事は子どもを産んで育てること、お年寄りや親戚、ご近所を大切にして、家庭を守ること。

そんな固定観念が染み付いているんだと思う。

でも、時代の流れとともに、環境を整えれば、能力的には女性も男性と同じように力を発揮することができる、といわれてきた。事実そういう人もたくさんいる。


けれど、目の前の現実は、仕事をしながら子を産み育てることは、想像以上に大変だったし、そして、どうやっても不利になった女性の私。


そんな自分の生き方を考えながら、本棚に向かうと、どうしても女性作家さんを選んでしまう。


そして、今回は宮下奈都さん。宮下さんの作品は「羊と鋼の森」から好きになり、「窓の向こうのガーシュイン」「とりあえず、ウミガメのスープを作ろう」など、4冊目だ。 

 今回は、「たったそれだけ」そんなタイトルだが、宮下さんの作品だから、それだけ、の 「それ」は、かなり重要なことかもしれない、と探りを入れるような気持ちでページをめくった。



◎あらすじ
これは、推理小説なのだろう。主人公は多分、望月正幸、40代。会社で営業部長。しかし、やり手という訳では、なくどちらかというと、いわゆるいい人。断れない人、優しい人、人当たりのいい人


そして、夏目。望月の部下の一人、20代の女性社員。夏目はある日の昼休み、同僚の蒼井から携帯を投げつけられる。


正幸の妻。8ヶ月の女の子ルイの母。正幸の実姉から謝られ、自分の幸せを探すように諭される。


娘のルイ。数年後は高校生になる。ルイは成績は良かったが、昼も夜も働きづめの母をみて、自宅近くの県立高校に進む。


ルイの同級生だった大橋。高校を中退して介護施設で働くようになり、、、。


◎気になったところ 本文より引用
 介護施設の益田さんが、若い頃の自分を思って、大橋に言ったことば


正直に生きることです。

自分に正直でいれば、すべては自分で選んだことだと納得することができます。どんなことが起きても、責任を取ろうとするでしょう。

自分にとことん正直であるなら、後悔しない。それが自分なのだから後悔のしようもありません。失敗しても、人を傷つけても、それはもう仕方のないことでしょう。




◎感想
 推理小説です。結末も推理するしかないですね。でも、あー、宮下奈都先生はこういう手法で物語を展開することもあるんだなぁと、思った。

 私はこの物語でいうと、望月の実姉に近いかもしれない。苦しんでる義妹を前に、何かをしてあげなくては、と思ってはいるが、立ちすくむことしかできないでいる。

 そして、最後に抜粋した益田さんのことばが、この本から私への贈り物だと思えた。





◎今日も私のnoteを最後まで読んでいただきありがとうございました。

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