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【7分で読める】スパイダーマン2から学ぶ:物語に必要な『衝突』

 ここまで物語を作る上で登場人物の重要性について解説をしてきました。①物語のテーマを決める。②そのテーマに合った正義を登場人物に持たせる。③登場人物に目的を与える。というのが、ここまでのステップです。それが「衝突」です。
 最初にお断りしておきます。「自分は作る物語にメッセージを込めるとかは考えていない」というような方には今回の記事はオススメしません。
【参考にした動画】

3種類の衝突

 ここで言う衝突とは「登場人物が持つ目的達成を阻むものとの衝突」という意味で使います。そして、この衝突には3種類存在します。1つめ:物理的な衝突。2つめ:心理的な衝突。3つめ:価値観の衝突。この3つです。
 1つめの物理的な衝突について説明をします。これは登場人物が目的達成をする過程で起こる目に見える衝突を意味します。
【具体例】
・スパイダーマン2:スパイダーマンVSドクターオクトパス
・ショーシャンクの空に:アンディVSサミュエル所長
・セブン:サマーセット&ミルズVSジョン
 この目標達成の過程で起こる衝突は筆者にとっては物語を導く指針。または観客を置いてけぼりにしない対策となります。例えば、ドクターオクトパスを倒すことが目標のスパイダーマンがいます。そうすると物語上、筆者はスパイダーマンが次にどんな行動を起こすべきなのかが見えてきます。そして、観客も「スパイダーマンのこの行動はドクターオクトパスを倒すためにやってるんだな」と置いてけぼりになることがありません。もちろん「MJと仲良くなる」という目的を持って、MJとのデートに行くこともあります。しかし、メインの目的はドクターオクトパスを倒すことです。
 しかし、これが物語の全て:テーマではありません。「スパイダーマン2」が文字通り「スパイダーマンがドクターオクトパスを倒す」だけの物語だと言われるとちょっと違いますよね。その過程で力を持つことの責任に気づいたり、夢を諦めることの必要性など様々なことを経験していきます。これらの物理的衝突の裏にあるのが、物語のテーマです。
 2つめの心理的な衝突について説明をします。登場人物が目標を達成する過程で下す決断とそれに対する心理的な衝突です。スパイダーマン2を例に考えます。スパイダーマンはドクターオクトパスを倒すことが目的です。しかし、自分が愛するMJと生活をしたい、という思いもあります。つまり「MJとの関係を無にしてまでスパイダーマンとしてドクターオクトパスを倒すのか?」というのがスパイダーマンの心の中で起きていた衝突です。この衝突を乗り越えて、「MJを諦める」という選択の結果、てスパイダーマンはドクターオクトパスを倒します。同じドクターオクトパスを倒す、という目的でもそこにかける思いの重みが違いますね。
 3つめは価値観の衝突です。突然ですが、どんな映画でもいいですので想像してください。登場人物が目標を達成した時やエンディングを見た時に「それで?」というような感覚になった映画はありませんか?スパイダーマン2であれば、「スパイダーマンがドクターオクトパスを倒すためにMJとの関係を絶ちました」だけだとそのような感覚になります。しかし、スパイダーマン2にはメイおばさんが言うように「自分の夢さえも諦めて正しいことをするのが英雄」という1つの価値観が提示されます。そして、ピーターは正しいことをするために自分の夢であるMJを諦め、スパイダーマンとして生きることを選択します。このような思想があるのでスパイダーマン2は成功しているのです。

物語の意味とは:そもそも衝突

 ここまで衝突の話をしてきましたが、そもそもなぜ物語に衝突が必要なのか。この答えを知るためそもそも物語が存在する理由を研究しましょう。海外でも脚本指南書の代表著書である「ストーリー」にて著者であるロバート・マッキー氏は「物語は人生のメタファーである。生きる上で我々は様々な衝突を経験する。その衝突を繰り返し、成長をしていく」と言っています。

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  要約をしますと、物語は登場人物の人生を見ることで自分の人生について考える機会であるということです。この言葉に近いことをリトルミスサンシャインやトイストーリー3の著者であるマイケル氏もコメントをしています。

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「物語とは価値観の衝突です。価値観とはどのように人生を生きるのか、という価値観です。例えば、『Aという生き方』『Bという生き方』が物語上で争う、といったものです。だから、物語とは『生き方の教科書』でもあるのです」
 つまり、我々が感動する物語は「一つの生き方」を提示したり、「人生ってなんだ?」と質問を投げかけてくるような物語であるということです。この価値観の衝突に基づき物理的衝突、心理的衝突が生まれるのが良いでしょう。
 スパイダーマン2を例に考えましょう。スパイダーマンは「夢(MJ)と責任(ヒーロー)を両方実現する」という価値観を持っています。ドクターオクトパスは「夢(研究)を達成するためなら責任(社会貢献)はどうでもよい」という価値観を持っています。この価値観が衝突し、最終的に「正しい行いのために夢を犠牲にしたスパイダーマン」が勝ちます。

私は大切なメッセージを面白い映画に載せて伝えたい

 一部の方には「映画に意味はない」「映画にメッセージはない」「ただ、お客さんの喜ぶ顔が見たい」と言う人もいます。そして、それは間違っていないと思います。ただ、私はそういう映画作りはしたくないと思っています。私は説教じみた映画を作りたいわけではなく大切なメッセージを面白い映画に載せて伝えたいのです。そういった作品こそ長きに渡り視聴者の心に残るものだと思っています。私はそんな作品を作りたいですし、私がサポートをする映画監督志望のサラリーマンの方もそんな人の心に残る作品を作って欲しいな、と思います。
 次回はこの衝突をどのように引き起こしていくのかを解説していきます。

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