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雪輪
2020年2月22日 18:03
聞き慣れた、彼女の明るい笑い声が空気を震わせた。それを聞いて僕も笑顔を返す。手を差し出すと迷わずに取ってくれるのが嬉しくて、彼女の温かい手を握ったまま前後にブンブンと振る。そうすると、また彼女の笑い声が薄曇りの空に駆け上った。 二月だというのにその空はさほど寒くなく、僕も彼女も制服の上にはなにも着ていない。 駅から学校までの道。普通に歩いたら七分。別々のクラスの僕と彼女は朝と夕方、十分かけ