お返し断捨離 #毎週ショートショートnote
私は物が捨てられない。
いい加減、精算したほうがいいとは思うのだけれど…。
そう思いながら、私はまた一つ、真っ白な箱の中にモノを入れて、蓋を閉じた。
…そーいえば、この箱、何が入っていたっけ?
そう思い、私は真っ白な箱を手に持ち、ソファに座った。
蓋を開け、改めて箱の中を見る。
最初に目に入ったのは、小さな貝殻のイヤリング。
これは何だったっけ…?
私はイヤリングを手に取り、ぷらぷらと貝殻を揺らす。
あー…。これは高校生のときの彼氏に貰ったヤツだ。
そうそう!ホワイトデーにお返しでもらったヤツ!
貰ったときの思い出が私の頭を駆け巡った。
あのときは…、そう!
だいぶ暖かくなってきたとはいえ、アイツに春の海風が吹きすさぶ浜辺に呼び出されたんだった。
…寒いんだよ!
そっちはズボンだからいいかもしれないけど、コッチは生脚でスカートやぞ!
ちょっと不機嫌になりながら、私は彼の元へ向かった。
「とっても綺麗な貝殻を見つけたんだ。君に似合うと思って…」
そう言いながら渡されたコレ。
…若かったなー。
でも、嬉しかったんだよなぁ…。
その場でイヤリングを付けて、キスまではしたっけ…。
なんで別れたんだっけ?
…あ、思い出した…。
アイツ、同じ手口で別の女とキスしてたの見ちゃったんだ。
キスだけなら良かったものの…。
思い出した瞬間、私はコレをゴミ箱に投げつけた。
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