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久しぶりの登山レポ 甲武信ヶ岳~三宝山

1日目 甲武信ヶ岳 7/21(金)
わりと近い山なのに、なぜか今まで計画していなかった甲武信ヶ岳に登ることにした。
そこは年に一回くらいのペースで山岳救助出場するので、どんな所なのか見てみたいと思っていた。
登山口は何ヶ所かあるが、本格登山は実に10ヶ月ぶりだったので、一番コースタイムの短い毛木平からの山小屋一泊周回コースにした。
師匠に朝4:30に拾ってもらい、上信越道回りで長野県側の登山口を目指した。甲武信ヶ岳は甲州・武州・信州の境界、奥秩父山塊の中にあるため、どこからアクセスしても時間がかかる。
高速道路を降りてから南牧村や小海町を抜けて川上村に入ると、壮大な野菜畑が一面に広がっていた。
白いマルチが果てしなく広がり、サニーレタス、キャベツ、白菜がびっしり植わっていた。
走る車両は大型トラック、軽トラ、農耕車がほとんどで、なかなか普段見ない光景だった。
野菜畑の一番奥まったあたりに入ると砂利道になり、その先に毛木平駐車場があった。
歩き始めは、小屋番さんの軽トラも上がるくらいなので傾斜もきつくなく、わりと平坦だった。
橋を渡ると十文字峠へ向かう道になるが、今回は千曲川源流に向かう道から登る。
暫く汗だくで歩いているとナメ滝という滝に出た。
源流といえば笠取山の多摩川源流のように、ほとんど水が流れていない沢を想像していたが、水量が豊富なのに驚く。
奥秩父山塊の体積がかなり大きく、保水量が豊富なのかもしれない。
実際地図を見ると、立派な沢がたくさんあるようだ。
しばらく登っていくと、千曲川・信濃川源流の碑があり、沢へ降りられるようになっていた。
ちょろちょろと水が川底から湧いているところがあり、そこがまさに源流だった。
チェーンで繋がれたステンレスカップがあり、湧水を汲んでペットボトルなどに入れられるようになっている。
湧水はキンキンに冷えていて、火照った体に染み渡る美味しさだった。
登山中の水場は色々あるが、今まで飲んだ水の中でダントツ一番の美味しさだった。
そこで一休みした後は、急登を息切れしながら登る。
尾根に出ると、大弛峠からの登山道が合流してきていた。
そちらはうんと距離が長いらしい。
左手にしばらく行くとガレ場が現れ、山頂が近いのがわかる。
急傾斜を登ると、甲武信ヶ岳山頂だ。
私の山行では通常運転である、ガスガスの山頂だった。
周りの景色は何も見えないが達成感は大きく、地元佐久広域消防の方々としばし語らって楽しい時間を過ごした。
雲行きが怪しくなり、急いで甲武信小屋まで下ると、ちょうど雨が降ってきた。
前の晩が雷雨、当日もあまり良い天気予報ではなかったため小屋はキャンセルが続出、その日の宿泊は師匠と私だけという貸し切り状態だった。後にテント泊から素泊まりに変更したお兄さんが増えた。
小屋番さんは親切で、驚いたのが玄関わきの売店。
性善説に基づいた無人販売コーナー(建物が小さく小屋番さんは行き来しているので目が届く)に、缶の飲み物やカップ麺、パンが積まれている。
料金箱はただのお菓子の空き箱?のようで、大量の小銭が入っており、そこからお釣りを取る。
今までの山小屋でそういうスタイルは初だった。
売上に貢献したく手拭いやTシャツを購入したが、お釣り4000円分が全て500円玉となり財布がパンパンになった。
最初に宿泊代を万札で払って千円札を温存しておけばよかった。
宿泊代は8500円、夜は美味しく煮込まれたカレー、朝は卵焼きやお味噌汁だった。
あたたかいご飯が本当にありがたい。
甲武信小屋は前からぜひ泊まってみたかった。
建て増し、修繕のあとが見られ、小屋自体が古いためか、寝る二階の床は畳が若干フワフワで、歩くと音が響く。屋根に落ちる水滴の音もダイレクトだ。
昔ながらの山小屋らしい雰囲気と佇まいで、自分はそういうのが大好きなのでまたお邪魔したい。
夕食後はストーブの脇で師匠と8月の山行先を相談し、8時には消灯した。

2日目 三宝山~尻岩~武信白岩山~大山~十文字峠 7/22(土)
二日目は屋根の雨音で目が覚めた。
朝食は5時半で、食べ終わる頃には晴れ間が出た。
身支度を整え、6時過ぎに小屋を出発し、まず甲武信ヶ岳山頂に登り返す。
前日はガスガスの雲の中だったが、周囲の山々がちらほら見えて元気が出た。
大好きな金峰山の五丈石、雲が湧いた富士山、振り返ると埼玉県最高峰の三宝山も。
三宝山は標高2483m、想像より丸く大きく、中腹に大きな岩があった。
百名山である甲武信ヶ岳が標高2475m、すぐ隣の三宝山のほうが高いのに、知名度は雲泥の差。
自分も今の仕事をしていなかったら、まず認識しなかったと思う。
甲武信ヶ岳山頂から、三宝山経由十文字峠方面への道に入る。
急下りしてまたすぐ登り返し、三宝山の山頂に出た。
山頂はちょっとした丸い平地になっているが展望はなく、シャクナゲが沢山咲いている静かな場所だった。
途中、展望の良い三宝岩に出られる小道があったらしいのだが、歩いている最中に気づけなかった。
埼玉県最高地点ではあるが、人気もなく見どころもないので、そそくさと山頂を後にした。
しばらく下っていくと、巨石が目の前に現れた。
「尻岩」という名の巨石で、本当にお尻のように割れている。
なかなかの迫力と、なぜかクスっとしてしまう面白さがあり、埼玉県は面白い財産があるのに一般に知られていないのはもったいないと思った。
記念切手などにすればよいのにと思う。
まぁ県民に広く知られたとしても、甲武信ヶ岳からも、十文字峠からも距離があるので、わざわざ見に来る人もいなさそうではある。
そこからまた道は登りになり、武信白岩山の南峰、北峰(通行止め)、大山とアップダウンを繰り返した。
樹林帯で足元は木の根っこが入り組み、土も砂利交じりであったり、岩場だったりで滑りやすく、がそこそこ踏ん張らないといけないので足が疲労する。
大山の先はけっこうな崖のような鎖場や道になっており、どちらかといえば疲れた下りより最初の登りで歩いたほうが良いのではと感じた。
時々滑って尻餅をつきながら十文字峠まで下った。
十文字小屋には「きのこうどん→」という看板につられて玄関から中を覗くと、おかみさんと有名人徳さんが昼食中だった。
美味しいおうどんを頂きながらお二人と楽しく会話してしばし癒しの時間を過ごした。
そこからは普通の登山道を下っていくわけだが、とにかく足が疲れて歩が進まない。
息切れしながら小股で必死に師匠の後を追うが追いつけなかった。
沢の音がごうごうと大きくなると橋を渡り、前日歩いた道に合流した。
そこからはもう平坦な道で、しばらく歩くと駐車場に出た。
汗だくで頭からびっしょりで、トイレでとりあえず着替えた。
私がかなりペースダウンしたせいで、下山時刻が予想よりオーバーしてしまった。
その後はまた元来た道を戻って佐久の道の駅に立ち寄り、家族の好物銘菓「雷鳥の里」を買った。

まとめ
今回のコースは十分日帰りも可能だが、千曲川源流や数々のピークを経由して楽しいのと、甲武信小屋が良い雰囲気なので一泊するのもおススメ。テント場も小屋から近く、上手く風をよけられそうな位置関係で、テント泊の練習にも良いかもしれない。
千曲川源流コースをピストンすれば危険個所もなく、歩きやすい。
十文字峠を通る周回コースなら、右回りが楽かもしれない。
千曲川源流の湧水は本当に美味しいので、また行きたい。
ぜひ三宝山、尻岩も推したい。

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