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海部の脇指

そういえば去年~今年にかけてお迎えした二振りの日本刀についてオタク語りをしていなかったことに気づきましたので、まずは海部パイセンから語ろうかと思います。

最初に認識した日本刀が「海部刀」だった私は、相変わらずそういう脇物が好きです。
購入ひと振り目も新々刀海部の短刀でした。

海部刀は超実用刀でたくさん使われたようですが、長曾我部氏に海部城が攻め落とされた後に一度衰退したそうです。その後、蜂須賀家が海部鍛冶を徳島城下に呼び寄せて作刀させたことによりまた盛り返したそうで、新々刀海部と呼ばれるものは、それらでしょうね。
若くて無銘でよくわからないもののうち直刃調のものは「新々刀海部」にされることが多いと聞いたこともあり、なんか大雑把なのねと驚いたこともあります。
海部刀を検索すると新々刀海部はちらほら見かけます。若いうえに煌びやかでない?ので価格は手頃なほうです。あんまり名指しで買う人はいなさそうです。私はすごく好きですけど。

では昔の海部極めのものを探そうとすると、意外と無い・・・。
超実用刀なので仕方がないかもしれません。消耗されて、当時の形状からだいぶ変わったりするでしょうし、どんどん減っていったんだと思います。
短刀だと「The海部!」という片切刃造という形状で刀身に銘切がしてあるものが紹介されていたりしますが、実物を見たことがないです。きっと海部マニアに大事にされていて出てこないのでしょうね。海部氏吉の刀身銘短刀、欲しいです・・・。
たまに「海部にしては良い出来!」みたいな文で紹介されている刀の記事を発見しますが、たいていSoldで、数が少ないですね。
もっと探せばあるのかもしれませんが、パッとしないからわざわざ刀屋さんもHPに載せないとか?実際、国内にどのくらい海部刀が残っているのか知りたいものです。

重要刀剣とか、すごい刀をおくつもお持ちのベテラン愛刀家の方々のSNS投稿見ていても、まず出てきませんしね。刀好きな現代の姫様たちもまず知らないと思われ・・・でも昔から「海部刀」という言葉があるということは、他となんか違う、という扱いだったわけで、私みたいな物好きが常に一定数いたんでしょうね。

ずっと新々刀海部ではなく、海部極めの刀を探していたところ、昨年性癖にぶっ刺さるものを見つけました。
寸法的には脇指[一尺三寸三分一厘強(40.35 cm)]、平造り、両側に一本ずつ樋を掻き通してある、どう見ても和製サバイバルナイフのような海部を(保存刀剣)。
いわゆる大小の小みたいなスタンダードな脇指ではなく、茎も幅広で短く、おそらく片手で軽々振り回して生活のことでも何にでも使ったんじゃないだろうか?という姿。
室町後期と説明に載っていましたが、サバイバルナイフにしては良く残っていたなと感心しました。
私が一目惚れしたように、代々の持ち主も惚れ込んで大事に維持してきたんでしょうね。
白鞘のみ付属で、残念ながら当時の拵えは無いです。当時使っていたであろう?阿波水軍の兵士が、どんな拵えに入れて携行していたのか非常に気になります。
海部だし、拵えもないしで価格はそれほどでもありませんでした(自分にとっては高い買い物です)。
市場の評価は高くなくても、私にとってはめちゃくちゃカッコいい脇指です。地鉄も意外と明るく綺麗です。おしゃれな銀はばきもついています。
刀剣を運搬するのも注意点があったりで手軽にはいきませんが、ちょっと今までの綺麗で華やかな刀とは違うものも見てみたいという奇特な方がいらしたら、ぜひ見てもらいたいものです。

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