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「日本でこうだから」は、全く通用しない。柳井弘幸氏に訊く


こんにちは、世界へボカンの徳田祐希と申します。弊社は、英語圏の越境ECに特化したWebマーケティングを得意とする会社です。
 
前回に引き続き、ボシュロム・スターバックス・P&Gなど名だたる外資系企業に28年間勤務、スターバックスではマーケティング事業部も兼任されていた柳井弘幸氏に「ウィズコロナ時代のグローバルな戦い方」について伺います。

ミャンマーは、日本の30年を飛び越えた。

徳田 少し話は変わりますが、ミャンマーにも行かれていたそうですね。
 
柳井 そうです。昨年2月に1週間ほど行きました。今もミャンマーの若者に、インターネットを使ってマーケティングや集客などビジネスを教えています。
 
インターネットを使えば、お金をかけなくても自分のビジネスを作れます。それを頑張る若者に教える、みたいなプロジェクトがありまして。市場調査も兼ねて、向こうのインフルエンサーに会っていろいろ状況を聞いてきました。
 
徳田 デバイスやメールの部分で、かなり面白いことになっているとか。
 
柳井 そうですね。日本はインターネットが普及しはじめてniftyなどに電話回線で通信していた時代がありました。ホームページができて、ブログが流行って、ブロガーが影響力を持つようになって、そうこうしているうちにmixiなど和製SNSができて。
 
その後にFacebookやTwitter、最近だとインスタ。消費者が発信するインターネット上のコンテンツが、どんどん拡充してきている。パソコンもデスクトップからノートパソコンそしてスマホと、日本は30年くらい掛けてデバイスが変遷してきたんですね。
 
一方ミャンマーは、最近ほんとうに国が自由になってきてるんですね。民主主義に変わったばかりで、日本が過ごした30年の歴史をあっという間に飛び越えています。急激にスマホやWi-Fiが普及したので、ブログとかメルマガとかはほぼ使われてないです。

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完全にスマホとSNSで、Facebookが100パーセント近いシェアを持っている。YouTubeも流行りはじめています。ネットの使用法や動画コンテンツの見せ方など、日本とだいぶ違いますね。そこに日本の成功法則を当てはめようとしても、絶対ムリ。これは、ミャンマーでの学びでした。
 
徳田 現地でどういうデバイスが使われ、どういうチャネルでコミュニケーションされているか、情報がないと明後日の方向で施策を行なう可能性もありますよね。
 
柳井 「日本でこうだから」って言っても全く通用しないんですよね。もちろんいろいろなデータは見るんですよ、ネットのマーケティング事情とか。国民の何%がSNSを使っているとか。
 
でも、読んでも今ひとつイメージ沸かないんですよね。事前にデータを見ても、現地に行って現地の人に直接話を聞くと全然違うんです。データを読んでいるだけでは見えてこないインサイトが、たくさんあります。

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戦略を浸透させたら、思い切って任せる。

徳田 これから越境ECや海外向けBtoBマーケティングを行なう企業様向けに、アドバイスをいただけますでしょうか?
 
柳井 やはり、「現地の意見を聞いてほしい」ということですね。タイに行くならタイ、ミャンマーならミャンマー。現地の文化を理解しないと、こちらの戦略も理解してもらえないと思うんです。
 
理解した上で、戦略はしっかりグリップする。アメリカ人ってドライに思われますが、意外とそうでもないんですよ。日本に来たらわれわれもいろいろな場所に連れていきますし、お店を見るだけじゃなく日本文化を紹介します。 
 
彼らも同様に、シアトルにスターバックスの皆と一緒に行くとやはり良くしてくれるんです。やはり、相互理解がすごく重要です。その上でこちらの戦略を浸透させ、戦術は現地の人に思い切って任せるのが重要だと思います。

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「日本人が日本語で喋ってるこの戦略って、現地の言葉ではどうなるんだろう?」というのは、やはり現地の方に考えさせたほうがいいんです。言葉って文化を積み重ねた記号なので、文化をわかっている人しか伝わらないんです。
 
徳田 なるほど。戦略より先に現地を理解し、相互理解を進めるためのリサーチをしていくほうがいいと。ローカルを理解しているパートナーを見つけ、戦術・施策をアプライしていく。その上で小さな成功体験を積み重ね、現地から信頼を獲得していくと。
 
柳井 そうですね。外国人同士でやるわけですし、ビジネスは個人でなくチームでやるものですから。いいチームを作ることが一番重要です。

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共通フレームワークなくして、成功は難しい。

徳田 私もいろいろな国のメンバーと働いているので、文化的な違いを感じることが多々あります。日々驚きですね(笑)。
 
そういうときはSTPとか3Cとかわかりやすいフレームワークを使って、相互理解を共有するのが大事だと思います。「僕らが目指すポジションや戦略はここなんだよ」「今はココにいるから、こういうメッセージを発信していかなきゃいけないんだよ」と伝えていく。そうしないと、皆が同じ方向を向かないんですよね。
 
柳井 そうですね。同じフレームワークで戦略を語ったほうが、同じ方向を向きやすいですね。 

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徳田 それがすごく大事だと日々感じています。
 
柳井 ずっとマーケティングの仕事をしてきて思うのですが、マーケティングを日本人同士で語っても意思疎通はなかなか難しい。まして違う国の人と話すなら、フレームワークなり共通言語があるのは必須ですよね。
 
私にとって、他の国に攻めていくというのはすごく難しい領域の話に見えるんですけど、それだけにやりがいは大きそうですね。
 
徳田 いやほんとです、やりがいしかないです。それしか言えないです(笑)。
 
<了>

柳井 弘幸 氏(やなぎい・ひろゆき)
元スターバックス コーヒー ジャパン株式会社
マーケティング部 部長
スタバ、P&Gなど27年のマーケティング部長の経験で、副業、起業コンサルタントとして起業1年目から2億5千万円の売上達成。会社員の副業、起業、集客ノウハウを解説する大人の副業大学を運営する。

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世界へボカン株式会社は、海外専門のWEBマーケティング会社として多くのBtoBマーケティングプロジェクトに取り組む事で、海外販路拡大時のほとんどの課題に対し、打ち手を持っています。


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