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ブレインバンクに登録するという選択

 精神疾患死後脳バンクに生前登録しています。平たく言うと、脳或いは全身を解剖、組織をサンプルとして保存して精神疾患の原因解明のために研究のために使用する事業のことです。医学生が解剖実習を行う献体とはまた違った事業になります。

 僕は双極症(双極性障害)と神経発達症(発達障害)があります。大学2〜4年生の頃が一番気分変動の波がひどく、希死念慮や自殺念慮、焦燥感がめちゃくちゃ強く、自殺を企てたり体調が悪すぎてベッドから起き上がることができない時もありました。今の主治医になって7年が経ちますが、大学生の頃のような強い希死念慮や自殺念慮はなくなりました。
 
 留年して意気消沈しているときに、ブレインバンクのことを知りました。ブレインバンクと僕、この出会いって運命かなと思っちゃいました笑。こりゃすぐに資料を取り寄せて説明を聞こうと思いました。思い立ったら即行動。自分の良いところ。説明を聞いたり自分で調べてみると、「精神疾患を発症する原因がいまいち解明されていない」ということを初めて知りました。そういう驚きもあり役に立てるのあればと登録までの時間はそうかかりませんでした。

 登録後、心境の変化が大きく2つありました。高校生の頃から気分変動が落ち着くまでの間、多くの人に迷惑ばかりかけてきた僕が双極症/神経発達症であるが故に精神医学の分野で役に立つ存在になれる可能性がある。こう思えたことは、後ろ向きになりがちな当時の僕にとって大きな心境の変化でした。そして、ブレインバンクから会報や最新の精神疾患の研究概要が送られてくるので、他にも仲間がいることや誰かの善意が後世の役に立っていることが身近に感じられ、前向きな気持ちを持つことができるようになりました。

 この2つの心境の変化が、僕にっては大きな防波堤のような役割をしています。僕は亡くなってもなお誰かの役に立てるかもしれない。だから、「今」も精一杯生きよう。そう思えたことはとても大きいことでした。


参考:東北精神疾患死後脳・DNAバンク


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