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2019/01/13 Taiko Super Kicks @八丁堀七針

Taiko Super Kicksの50人限定ワンマンライブ。会場は七針というアートスペース。
軽く防音扉加工がしてある白い扉を開けて階段を下っていくと、スペースの一角に楽器やアンプが広げてある。アンプやドラムセットはこじんまりとした感じのもので、ドラムのマイキングはなかった気がする。演奏するにはちょっと窮屈そうな広さ。
その前方30cmくらいのところから椅子が数列並べられている。座席数は20ちょっとという感じだったので、あとのお客さんは後方で立ち見か、階段上に座ったり立ったりして見る感じだった。開演時間にはわりとぎゅうぎゅうに。

この日は昨年出した7インチシングルのリリースイベントという名目だったんだけど、Vo/Gtの伊藤さんが物販で売る7インチを家に忘れたらしく、取りに帰っている関係で開演が押すとのことが、Baの大堀さんから伝えられた。
それで開演時間になったんだけど、伊藤さんが来る途中で乗る電車を間違えてしまったらしく、想定よりさらに押して30分押しになると続報。伊藤さんが来るまで、残りのメンバーが軽くトークする運びになった。

大堀さんが話題を振ってぽつりぽつりとまったり喋る感じだったけど、これが割と良かった。大堀さんの仕事(メーカーの企画・マーケティング職?)でのエピソード、樺山さんのマイブームのレゲエ話、伊藤さんにどうドッキリをしかけたいか、などなど。適度にリラックスしてライブに臨めたのが、会場のアットホーム感・プレミア感と相まって良かった。

セットリストは以下(たぶん)
1.霊感
2.夜
3.景色になる
4.遅刻
5.モーターズ(新曲)
6.水
7.バネのように
8.悪いこと
9.低い午後
10.bones
11.釘が抜けたなら
12.無縁
13.フラグメント
14.たたかいの朝
15.感性の網目

開演前、大堀さんが「伊藤君は霊感ないよね」って話してたので霊感で始まってちょっと笑ってしまった笑
セトリは全体的に「鑑賞」に適した曲が多くて、この会場でやるライブとしてぴったりだなあと思った。小さい空間で音量もそこまで出さない環境なので、加工されていない音がそのまま耳に身体に伝わってくる。音自体が持っている質感の気持ちよさを、存分に堪能できたライブだったなあと。特にTaikoの音は揺らぎや緊張感が特徴であり魅力だと思っていて、それゆえああいう環境で聴かせることにマッチしていると思う。

具体的な曲で言うと、「景色になる」「遅刻」あたりが特に印象に残った。テンポが音源より遅めで、それがすごく味を出していた。「景色になる」は最初はレゲエ調のリズムだけど、だんだん変化して寂しげな感じ・諦念感みたいなものが強まっていくという印象を持っているんだけど、その移り変わりの速度、ゆったりとじわりじわりと身体に染み込んでいくような感覚がたまらなかった。「遅刻」なんかは元々ゆったりしているのにそれがさらにゆったりになり、楽曲と自分の意識が溶け合うような感覚すら覚えた。

ライブで是非聴いてみたかった「水」も聴けたし、かなり満足度の高いライブだった。Taiko Super Kicksのようなバンドって、なかなかいないし、こんなバンドに出会えて心の底から良かった...って改めてしみじみ思った。こういう音楽を志向する人が4人も集まって、堅実に議論して容易に妥協せず音を紡いでいっているという事実は本当に尊い。「もしこのバンドがなくなってしまったら...」なんて思わず考えてしまったけど、これからも彼らが思考の先に紡いでいく音と言葉に耳を傾け続けていきたい。

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