- 運営しているクリエイター
記事一覧
『物性物理学1』§0:はじめに
この一連のノートは、『物性物理学1』の講義補助資料です。あくまで補助ですので、あしからず。
参考文献としては、
[1]『The Oxford Solid State Basics』(Steven H. Simon)
[2]『物性物理学』(永田一清)
[3]『物性論』(黒沢達美)
あたりを参考にしている。有名どころは、
[A] 『固体物理の基礎』(アシュクロフト-マーミン)
[B]『固
『物性物理学1』§1:自由電子モデルの効用と限界
(1)古典論(粒子)にもとづくモデル(電気伝導)
1896(1897?)年にJ. J. Thomsonによって電子が発見された数年後の1900年に、Paul Drudeによって、「電子がどう流れるのか?」についてDrude理論が提案された。
金属を考えて、電場E(電流I)をかける。前述の通り、物質中では原子核が周期的に並んでおり、自由電子が(電場と反対方向に)格子と衝突しながら進む。
格子と
『物性物理学1』§2:物質の構造
(1)結晶の構造~周期性と並進対称性~
格子は周期的なのであった。
それぞれの格子点をベクトルで表すと、二次元のときは
3次元のときは
と書ける。a_1, a_2, a_3ベクトルを基本並進ベクトルと呼ぶ。n_1, n_2, n_3は整数である。上図に二次元の例を示す。格子点は周期的に並んでいるので、基本並進ベクトルの重ね合わせで書くことができる。重要なこととして、基本並進ベクトルのとり方
『物性物理学1』§3:周期ポテンシャル中の「波」としての電子
(1)分子から固体へ
2原子分子(水素分子H2^+)を考える。つまり、以下の通り、1個の電子をAとBが共有している(共有結合)。
この系のハミルトニアンは、
である。Hψ=Eψの解(つまりエネルギー固有値)を求めたいが、厳密には解けない。
それぞれの1s軌道の線形結合
を波動関数として仮定する。ここで、電子の電荷分布はAとBで対称なので、
よって
なので、取り得る波動関数は
の2つ
『物性物理学1』§4:格子振動(フォノン)
(1)結合振動子モデルと周期性
結晶中において原子は周期的に並んでおり、原子は平衡位置周りに熱振動する。周期性より、ブロッホの定理を満たす(ブロッホ電子との類似性)。
①古典論
簡単な格子のモデルとして、同じ原子が一次元的に並んだ系を考える。それぞれの原子は、ばね定数kののばねでつながっている。原子間の間隔はaである。
n番目の原子の運動
が、ばねとして振動が伝わっていく。以下で運動方程