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東大生のキャリアと起業(序)

気づけばnote全記事が東大での講義に関するものだ。そのぐらい、母校の学生に対しての思い入れは勝手ながら強い。だからというわけではないのだが、本年1月に引き続き、7月に経済学部の国際経営論の授業で講義をする機会をいただいた。

お題は広く『ビジネス・経営・キャリア等に関すること』というもので、何を話したらよいのかと考えあぐねていたが、自分が大学生の頃、社会人の先輩から聞く就職活動や仕事の話にたくさんの希望と不安を感じていたことを思い出した。

将来に関する不安は、ユヴァル・ノア・ハラリが『サピエンス全史』の中で言及しているように、人間を人間たらしめる思考の一つであり、どのような状況におかれていてもゼロになることはないと思われる。「東大生」という一見キャリアや仕事についてなんの心配もしなくてよさそうな学歴(それは本当に幻想に過ぎないことは社会人になって数年経つと痛感するが)を持つ人たちでも、就職活動や卒業後のキャリアについて不安が全くないという人は稀有であろう。

サピエンス全史

そして現在、日本はキャリアの概念に関する大きなパラダイムシフトの途中にある。いわゆる「メンバーシップ型雇用からジョブ型雇用へ」という流れである。この労働観・労働環境の変化が今後の学生のキャリア選択にも直結することは間違いないが、多くの場合このテーマは、終身雇用という労働者の保護が失われるとか、年功序列から実力主義へ、というような一部の観点を切り取って語られることが多いように思う。

しかし、経営者という立場でビジネスに関わっていると、この問題は、実は人生におけるリスク・リターンの概念の根本的な変化だと言わざるを得ない。そんなメッセージを少しでも現在の学生に伝えられたら、この講義の時間にも大きな意味があるかもしれない。そんな風に考えて、講義のテーマを『ジョブ型雇用の社会における東大生のキャリアと起業について』とすることにした。

蓋を開けてみると、リアル・オンライン合わせて約300名の学生に参加いただいた。60分の講義の後、40分ほど質疑応答の時間があったが、時間内に回答しきれないほどの質問をいただき、学生の熱量を感じた。さらに、個人のFacebookで投稿したところ、思いがけずたくさんのいいねとコメントをいただいたので、前回に引き続き次回以降の記事で書いてみようと思う。


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