ウクライナ侵攻は世界の勢力図にどのような影響を与えるか

ロシアによるウクライナへの進行は歴史の大きな転換点となりうる。結論から言ってしまうとそれは、世界の覇権がアメリカから中国に移り変わるタイミングとなる。

直近の歴史を振り返ってみよう。大航海時代以降世界の覇権を握っていたのはイギリスであった。ではなぜ、イギリスからアメリカへ世界の中心は移っていったのか?それは第一次世界大戦である。第一次世界大戦はヨーロッパで起きた戦争で、アメリカもイギリスも参戦していた。だが、主な戦場はヨーロッパでありヨーロッパ諸国は多くの人が死に、モノが焼かれて実体経済に大きな悪影響を受けた。それに対しアメリカは本土での戦争はなくむしろ戦争による特需を背景として経済を成長させ世界1の強国となったのだ。このようにして世界の中心はイギリスからアメリカへ移り変わった。

これを踏まえて、今のウクライナの問題を考えてみよう。仮にロシアがウクライナに侵攻した場合西側諸国はロシア相手に経済制裁を行うだろう。ヨーロッパはロシアに天然資源の多くを依存しており、経済制裁はロシア、ヨーロッパ諸国双方に痛みを伴うものとなるだろう。もちろんここでいうヨーロッパはNATOとして行動するためアメリカも含まれている。アメリカを含めた西側諸国は(おそらく物理的な意味での戦争は大きくはならないだろうが、)経済的な意味合いで戦争をはじめ互いに悪影響を受ける。コロナ後の経済再開に伴う原油価格の高騰に拍車がかかり、最悪の場合は景気後退とインフレーションが同時進行するスタグフレーションが起きることも考えられる。現状のインフレ率7%という水準は1970年代にあったスタグフレーション以来の水準であることを忘れてはならない。それに対して中国は原油の輸入元の多くをサウジアラビアとロシアに頼っている。NATOによる経済制裁はロシアが原油をたたき売りせざるを得ない状況を作り、中国はその恩恵を受けると考えられる。

ここまでの話をまとめると、ロシアによるウクライナ侵攻は経済制裁の引き金を引き、アメリカでの原油高、中国での原油安を生む。これによりアメリカでの景気後退、中国での好景気につながる。世界の覇者は戦争による負担に耐えられず衰退し、また、新たな覇者は戦争による恩恵を受けて成り上がってきた歴史の繰り返しを忘れてはならない。

おまけ。
最後にすべての話をひっくり返すことになるが、アメリカは世界最大級の産油国であり、原油価格の高騰によるメリットがないわけではない。(SDGsなどをあきらめれば。。)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?