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「アマゾン・エフェクト」に打ち勝てる実店舗とは?

 「アマゾン・エフェクト」と呼ばれる効果に、既存の小売業が脅かされています。

 2011年には、書店大手のボーダーズが破綻。15年には家電量販店のラジオシャック、17年には玩具販売のトイザラスが破綻しました。
 125年の歴史を誇る米小売業の老舗、シアーズ・ホールディングスも、2018年10月15日、連邦破産法11条の適用をニューヨーク州の破産裁判所に申請し、実質的に倒産しました。

 アメリカでは、2017年以降、店舗の純減数が1万店になりました。https://www.nikkei.com/article/DGXMZO50103920S9A920C1MM8000/


 日本でも同様の減少が起きています。
 総務省の「経済センサス」によると、小売業の店舗数は16年に約99万カ所減少。過去10年で2割減っています。

◇ 自動運転で加速する実店舗の淘汰
 「実店舗店がいらなくなる」という現象は、自動車の自動運転の実用化によって加速するでしょう。
 すでに、ドローンや無人配送ロボを用いた物流革命が進行しています。ドローンによって物流拠点間を輸送し、「ラストワンマイル」を無人配送ロボットが担当するのです。
 すでに、ローソンが自動配送の実験を行っています。https://www.nikkei.com/article/DGXMZO42400390T10C19A3HE6A00/
 これは、店舗に行かずにコンビニ商品を受け取ることができるサービスです。

 無人配送サービスとブロックチェーンを組み合わせれば、完全自動の物流システムが実現するでしょう。
 デンマークのコンテナ船世界最大大手のAPモラー・マークスとIBMは、ブロックチェーンを利用する物流システムの実験に乗り出しました。https://www-03.ibm.com/press/jp/ja/pressrelease/55191.wss

◇ 実店舗の機能とは何なのか?
 ただし、そうなったとしても、それは、「これまでの意味での店がいらなくなる」という意味であって、実店舗のすべてが要らなくなるわけではありません。

 ネットで注文して配送ロボで配達してもらえる時代においても、なおかつ店に行く人があるとすれば、それは何を求めているのでしょうか?

 これまでは、アパレルは、試着が必要なため店舗優位とされてきたのですが、アマゾンは柔軟な返品サービスなどを拡充して、この常識を覆しています。

 他方で、地元産の青果物を飲食・小売業者に効率よく供給する「やさいバス」の導入地域が広がりつつあると報道されています。
https://www.nikkei.com/nkd/industry/article/?DisplayType=2&n_m_code=107&ng=DGKKZO50298940X20C19A9ML0000

 また、「便利さ」と「楽しさ」は別のことです。「ショッピングの楽しさ」というのは、間違いなく実店舗の魅力であるはずです。

 AI時代における実店舗の機能は何かを見出した人たちが、新しい世界を開いていくでしょう。


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